参議院国土交通委員会−

−「海洋基本法(議員立法)に関する審議」−
平成19年4月19日(木)
■松下新平■

 おはようございます。民主党・新緑風会の松下新平と申します。
 国土交通委員会では初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいま提案理由の説明をいただきまして、ありがとうございます。この二法案について質疑をさせていただきたいと存じます。
 まず冒頭に、本日御出席いただいておりますけれども、この議員立法法案提出者の皆様を始め関係各位の御尽力に心から感謝を申し上げますとともに、本日の御出席、誠にありがとうございます。
 さらに、この法案は多岐にわたっております。農林水産あるいは経済産業、外務防衛、いろいろ多岐にわたる中で、国土交通委員会がお引き受けいただきました。大江委員長を始め与野党の理事の皆さん、委員の皆さんに厚く御礼を申し上げます。
 それでは、随時質問に移ります。
 お手元に資料もお配りさせていただいておりますので、併せてごらんいただきたいと思います。
 海洋は、地球の表面の約七割を占めております。人類その他の生物は、これまでも海洋を十分利用し、多くのものを海から授かってまいりました。世界百九十二か国の中で海に面している国は実に百五十か国もあるそうであります。特に日本は、四方を海に囲まれ、はるか昔から海と深くかかわってまいりました。今日でも、エネルギーの九割、食料の六割を海外に依存し、また貿易の九九%以上を海上輸送が担っております。
 さらに、日本の陸地の面積の大きさは世界で六十番目ですけれども、管轄海域では世界第六番目になるそうです。お配りした資料も併せてごらんいただきたいと思います。ちなみに、一位がアメリカ、二位がオーストラリア、三位がインドネシア、四位がニュージーランド、五位がカナダとなっております。日本は、陸地だけではアメリカの二十八分の一でありますけれども、この管轄海域では一位のアメリカの三分の二を占めることになります。また、日本の陸地の十二倍の広大な水域、大陸棚を管理していることになります。この数字の上からも、日本が海洋から受ける恩恵は計り知れないことがうかがえます。
 さらに、歴史的にも、海は日本の安全保障に大きなプラスの要因をもたらしました。同時に、海は日本の美の一つでもあります。
 しかし、残念ながら、近年、その海洋に大きな異変が見られるようになりました。地球温暖化を含め、海洋環境が悪化の一途をたどり始め、漁獲量は激減し、大規模自然災害や津波が発生しておりますし、海賊や海上テロなどによる海上輸送の安全が脆弱化してまいりました。加えて、大陸棚の石油、ガスや海洋資源の開発に利用する関係国の争いが深刻化しております。我が国周辺では領土領海問題を含め、海洋関係の境界争いなど安全保障上の問題が激しく、海域が重複するのはロシア、北朝鮮、韓国、中国、台湾、フィリピン、アメリカでありますが、いまだ一つとして最終的な合意に至っていないのが現状であります。このような様々な背景から、世界は海洋を分割管理する方向へ大きくシフトし、平成六年に国連海洋法条約が発効されたところであります。
 そこで、まず、国土交通大臣にお伺いいたします。
 この条約の発効により、海洋国家たる我が国としては政策をしっかりリードしていくことが求められておりました。そこで、これまでの政府の取組のうち、国土交通省の海洋政策についてお伺いいたします。

■冬柴鐵三 国土交通大臣■
 四面環海の海洋国家である我が国は、はるか昔から人や文化の往来、物の輸送、産業、生活等の分野におきまして海と深くかかわっており、海の恩恵を満身に受けてまいりました。
 一方、我が国の海洋をめぐっては、海上における安全や防災、海洋環境の保全、海洋の開発利用、そして海洋産業の活性化等、多くの課題がございます。これらは独立に存在するものではなく相互に関係があることから、関連する施策を総合的に進めていくことが必要であります。
 このため、多くの部局で海洋に関する施策を進めている国土交通省といたしましては、海洋に関する課題についての基本認識と、それから基本的な施策の方向及び施策を推進するに当たっての基本的な考え方を、昨年の六月でありますが、国土交通省海洋・沿岸域政策大綱として取りまとめるとともに、昨年七月に国土交通省海洋・沿岸域政策推進本部を設置をいたしました。
 国土交通省としては、この大綱を指針とし、海洋の安全の確保、海洋の治安・秩序の確保、それから国土保全、防災対策、海洋環境の保全、海洋輸送の確保、海事産業の振興、海洋気象や海底地形等の調査などの施策を総合的かつ戦略的に推進しているところでございます。
■松下新平■

 実は、政府全体の海洋政策というくくりで質問をしたかったんですけれども、残念ながら、それを受けるところがないということで、あえて国土交通省に関しての質問にさせていただきました。
 御案内のとおり、漁業については農林水産省、海底資源については経済産業省、外国との交渉については外務省、海上輸送は国土交通省と縦割りの海洋関係行政を総合調整する仕組みが不十分でありましたし、責任の所在も不明確でありました。このことは次の質問に続けたいと思います。
 次に、法案提出者の皆さんにお伺いいたします。議員提出となりました背景と経緯についてお伺いいたします。

■石破茂 衆議院議員(法案提案者)■
 お答えを申し上げます。
 今委員からお話がございましたような歴史的な経緯がございまして、国連海洋法条約の採択、発効あるいは国連海洋開発会議、リオ地球サミットと申しますが、そこにおけるアジェンダ21の採択というのがございまして、各国とも一元的に海洋政策に取り組む、そのような体制を整えてきておるわけでありますが、我が国においてはそれがなかったということでございます。
 これはもう委員御案内のとおり、本当に七つの役所が絡むわけですよね。つまり、農水、経産、外務、防衛、国交、文科、環境ですか、七つの役所がそれぞれある。それはもう何も海洋に限らずそうなんですが、縦割り行政ということになっておって、それぞれがいろいろな考え方でやっているわけですが、それを一元的にやっていかねばならぬ。政策を一元化し、そしてまたその遂行も一元化するような方針を示すことが必要であろうと。となるならば、これは政治の強いリーダーシップによってやっていかねばならない、さればこそ議員立法であろうということであったかと私は存じております。
 昨年、そのような海洋基本法研究会というものを設立をいたしまして、これは自由民主党、公明党、民主党の議員、あるいは有識者から成りますそのような研究会を設立をいたしまして、十回にわたって議論を重ねてまいりました。それを受けまして各党でいろいろとまた議論を積み重ねました結果、海洋基本法案というのを策定した次第でございます。
 したがいまして、我が国としてもこの法案は是非とも制定をいたしまして、委員御指摘のような、世界六番目とも言われるような広い経済水域、排他的経済水域、これを管轄する海洋政策が総合的かつ体系的に推進されるようにいたしたい。それを言葉で言えば、島国から海洋国家へということなのだと思っております。それに資するための法案であると、かように承知をいたしておる次第でございます。
■松下新平■

 どうもありがとうございました。超党派で政治のリーダーシップという強い意気込みでこの法案の策定に当たられたということでありました。どうぞ、その思いが、法案が成立して運用までも続くようにお願いしたいと思っております。これは執行部の方にお願いしたいと思います。
 それでは、当然、諸外国の様々な取組を参考にされたと思いますけれども、その点について法案提出者の皆さんにお伺いいたします。

■大口善徳 衆議院議員(法案提案者)■
 諸外国の例でございますけれども、これはやはり国連海洋法条約が一九九四年十一月に発効し、そして一九九二年にこのアジェンダ21が採択されて以来、諸外国は海洋に関する様々な施策を実施するための制度的枠組みを整えて海洋政策に積極的に取り組んでいると承知しております。
 米国は、海洋をよりきれいで健全で生産的なものにすることを目指した米国海洋行動計画を二〇〇四年に策定しています。韓国は、海洋政策への優先的取組や海洋産業の競争力強化を通じた先進海洋大国を実現することを目指した二十一世紀海洋水産ビジョンを二〇〇〇年に策定しております。中国は、海洋資源を合理的かつ持続的に利用し、海洋経済の一層の発展を促進することを目指した二十一世紀中国海洋政策大綱を一九九六年に策定しています。これらの諸外国の海洋政策は総合的に推進しているわけです。総合的に推進をしております。
 また、安全水域に関しては、主要な諸外国では、国連海洋法条約に沿って排他的経済水域等において安全水域を設定する制度を整えていると承知しております。
 今般、海洋基本法案及び安全水域法案は、このような諸外国の海洋政策の状況を踏まえて提案したものでございます。
■松下新平■

 条約の発効から十三年たっておるわけですけれども、その間に諸外国のいいところを参考にされた、また日本に合う形で取り入れたということだろうと思いますが、ありがとうございました。
 次に、先週の中国温家宝首相の訪日についてお伺いしたいと思います。
 この法案にも日中間の課題解決という大きな期待が寄せられておりました。私も大きな期待を持って国会演説を拝聴いたしました。しかし、国会演説、首脳会談、共同プレス発表の記録を子細に分析しますと、中国の対日政策の基本は何も変化していないと言わざるを得ません。表現が従来のものより多少和らいだというだけであります。基本が何も変化していないのに、これが変化したかのように受け取って対中外交に臨めば、しっぺ返しを食らうのは日本側であります。
 そこで、中国側の対応の中で象徴的で、本法案にも関係する東シナ海ガス田問題について外務省にお伺いします。これは安倍総理の掲げる戦略的互恵関係の中枢に位置するテーマでもございます。
 共同プレス発表では、双方が受入れ可能な比較的広い海域で共同開発を行うと記されていました。これが果たして合意と言えるのでしょうか。
 実際、中国外交部は、首脳会談とプレス発表の後、翌十二日の北京での定例記者会見で、中国の海洋権益が及ぶ範囲は沖縄トラフまでであり、日本側が提示する中間線が日中を分けるという解釈は採用しないと改めて主張しております。しかも、十一日には、白樺に加えて樫で中国海洋石油がガス生産を開始したと発表し、定例記者会見では、個々の企業の具体的な活動状況は把握していないが、主権に基づく正当な活動だといった趣旨のことを平然と述べております。日本側が主張してきた、地下構造が中間線にまたがっている可能性があるために開発中止すべきとの再三にわたっての求めは全く無視されております。
 まず、このことに対する外務省の御所見を求めます。

■伊原純一 外務省アジア大洋州局審議官■

 ただいま委員御指摘のとおり、中国の外交部の報道官は、十二日、記者会見におきまして、中国側の開発活動は日本側と争いのない海域で行っていると、中国が主権的権利を行使する正常な活動なんだというふうに述べております。
 これに対する私どもの見解でございますけれども、私どもとしては、このような中国側の立場を受け入れることはできないということでございます。
 理由としては主として二つございます。
 まず第一に、今委員も御指摘ございましたけれども、この樫ガス田につきましては、日本側の調査によれば、構造が中間線の日本側まで連続している可能性があるということを確認しております。
 二つ目の理由でございますけれども、これは日本は、国連海洋法条約の関連規定に基づきまして、領海基線から二百海里までの大陸棚及び排他的経済水域の権限を有していると、その上に立って、隣国と二百海里が重なる部分については中間線を基に境界画定を行うと、そういう立場を取っているわけでございます。しかし、中国との間ではいまだにこの中間線でもって境界を画定するということは合意されていないのみならず、中国は我が国の中間線に係る主張を認めていないと、そういう状況でございますので、今そのような状況においては、日中間の境界画定が行われるまでは、その係争となっている海域、つまり日本が権限を有している二百海里の海域に位置しているガス田についてはやはり中国としても慎重に対応すべきであるということで、この樫は正にそういった係争となっている海域に位置していると、そういう立場から今回の中国の外交部報道官の発言については受け入れることはできないと、こういう立場でございます。

■松下新平■

 ただ、報道によりますと、一定の進展はあったとか発言を擁護するようなコメントも出されておりまして、なかなか明確に中国側に伝わっているかは疑問であります。
 今回の日中共同プレス発表では、東シナ海問題を適切に処理するため、東シナ海を平和、協力、友好の海とすることを堅持し、最終的な境界画定までの間の暫定的な枠組みとして、双方の海洋法に関する諸問題についての立場を損なわないことを前提として、互恵の原則に基づき共同開発を行う、双方が受入れ可能な比較的広い海域で共同開発を行うとされております。
 それでは、今回のプレス発表での双方が受入れ可能な海域、この双方が受入れ可能な海域に対する見通しについて外務省にお伺いします。

■伊原純一 外務省アジア大洋州局審議官■

 今御指摘のとおり、今回の日中首脳会談におきましては、東シナ海を平和、協力、友好の海とするために共同開発を行うということでは一致しておるわけですけれども、その共同開発を行う海域については、首脳会談に至るまで相当局長級等で協議を行いましたけれども、合意することはできなかったわけでございます。
 したがって、今後の課題としては、正に委員御指摘のとおり、共同開発を行う海域について協議をしていくと。ただ、そのときに一つの考え方として、双方が受入れ可能な比較的広い海域という概念、この概念を基に今後鋭意協議をしていくということにしておりまして、まず、五月にも次回の局長級の協議を行う方向でございます。
 それから、本年秋にこの共同開発の具体的方策を首脳に報告することを目指すということが、今回、首脳間の共通認識として合意されておりますので、その実現のために協議を今後加速して、対話を通じて、我が国の主権的権利を確保しつつ、迅速な解決を目指していきたいというふうに考えております。

■松下新平■

 是非、共同認識の中のお話がありましたプロセスを加速させて、今年の秋、再び安倍総理が訪中される際には何らかの方向性が出ることを望んでおります。
 次に参ります。
 中国が主張する東シナ海境界線は日本が主張する両国の地理的中間点と相入れず、境界線を画定するには至っておりません。現在も白樺油ガス田では、中国は日中地理的中間線の日本側までも含めて開発を行っておりますが、中止を求める我が国に対して、中国は中国側の海域で資源開発を行っていると主張しております。これでは、中国の日本海域での開発は続きますが、日本は中国側では開発ができないことになり、日本だけが譲歩していることではないでしょうか。このことについて資源エネルギー庁にお伺いいたします。

■岩井良行 資源エネルギー庁資源・燃料部長■

 お答え申し上げます。
 今し方外務省の方からも御説明申し上げましたように、基本的な考え方といたしましては、我が国の主権的権利を確保しつつ、東シナを平和、協力、友好の海とするということで各般の協議を続けているところでございます。局長級あるいは技術専門家会合等が開かれ、四月十一日に行われました日中首脳会談では、次回局長級協議を五月に開催するという合意を見ております。
 こうした協議を通じまして、私どもは、東シナを先ほど申し上げましたような平和、協力、友好の海とすべく迅速な解決を図って協議を続けていきたいというふうに考えております。

■松下新平■

 引き続き、よろしくお願いいたします。
 次に、法案提出者にお伺いいたします。
 ただいまの議論をお聞きになったと思いますけれども、正にこの法案提出の背景と経緯を述べていただきました。その中の一つであります東シナ海などの領土問題の解決のためにこの法案をどのように反映されたんでしょうか、またそれによってどのような効果が期待されるのでしょうか、お伺いいたします。

■西村康稔 衆議院議員(法案提案者)■
 お答えを申し上げたいと思います。
 今回、提案をいたしました二つの法案でありますけれども、今委員御指摘のありました東シナ海を始めとする特定の海に限定したものではなくて、日本が権益を有するおよそすべての海域において積極的に資源開発は進めていこうと、そういう意図で我々、提案をしたわけでございます。
 具体的には、海洋基本法では十七条に海洋資源の開発について推進を図るということを示しておりますし、そのことを踏まえつつ、政府は基本計画を作り、その中で積極的に資源開発を進めていくということを期待をしているわけであります。
 また、併せて提案をさせていただいております安全水域法案におきましては、そういう資源開発をする際のいわゆるリグですね、やぐら等の海洋構築物、そしてその周辺を通る船舶の安全を確保するために安全水域というものを設定すると、こういう法案の趣旨にしておりまして、この二法案が成立をした暁には政府において積極的に海洋資源の開発が推進をするということを期待するわけであります。
 特に、安全水域法案に基づいて試掘をしたいという企業もあるようでありますから、それらの企業と連携をしながら、海洋構築物を設定した場合に安全水域を設定して海洋資源の開発がスムーズに進むように、そして周辺の船舶の航行の安全が確保できるように期待をしているところであります。
 いずれにしましても、この二法案、是非成立をさせていただきまして、我が国の権益に及ぶ水域における海洋資源の開発が積極的に進むことを期待をしている次第であります。
■松下新平■
 ありがとうございました。是非、その効果を私も期待したいところであります。
 次に、本日は法案提出者の中で、民主党で中心になってまとめてこられた細野議員もいらっしゃいますので、ここで二、三お伺いしたいと思います。
 まず、民主党が提出していた海底資源開発法案並びに排他的経済水域等における天然資源の探査及び海洋の科学的調査に関する主権的権利その他の権利の行使に関する法律という海洋権益二法案についてお伺いいたします。
 この二つの法案を提出するに至った当時の問題意識と基本的な考え方をお尋ねいたします。
■細野豪志 衆議院議員(法案提案者)■
 松下委員にお答えをいたします。
 まず、この二法案を提出するに至りました基本的な問題認識でございますが、これは先ほどからそれぞれ答弁者の方からありましたとおり、海洋に関する政策というのが各省庁でばらばらで司令塔が不在であると、それを反映をして一九九六年に発効をしております国連海洋法条約というものに基づいての国内法の整備が全く進んでいない、それを解決をするためにということで法案の提出に至ったわけでございます。
 具体的に申し上げると、一昨年の十月、我が党は海洋権益に関する二法案を提出をしております。その趣旨でございますが、まず一本目の海底資源開発推進法案でございますが、こちらにつきましては、海底資源の開発に関する基本計画をまず策定すべしということになっております。そして、それを実現をするために海底資源開発推進本部を、これを設置をして総合的な施策を推進をするという形になっておりまして、これはもう既に皆さんお気付きのとおり、今回、海洋基本法案にかなり反映されたのではないかというふうに考えております。
 もう一本の方でございますが、私どもこれはいわゆるEEZ主権法と呼んでおりますが、これにつきましては、国連海洋法条約というのが発効をしておりまして、我が国はそれに基づいていわゆる排他的経済水域、EEZというのを設定はしておるんですが、その中で具体的にどういう権利を我が国として主張できるのかということについての国内法が存在をしておりません。国連海洋法条約によりますと、例えば、我が国の排他的経済水域において外国が資源探査をした場合、これは違法となります。また、科学的な調査につきましても、事前の通報がない場合にはこれは国連海洋法条約上は本来違法となるはずなんですが、そこに関しまして法の空白が日本の場合は存在をしておりまして、それを取り締まることができないという限界がございます。それについて具体的に書いたのが今申し上げましたEEZ主権法ということでございます。
 この部分に関しましては、先ほど西村議員の方から御答弁がございましたとおり、海洋基本法の二十一条、この法案の二十一条で安全確保について書かれてはおるんですが、これをもって具体的に海保が行動できるという形になっておりませんものですから、まだ今後の課題として残ったというふうに認識をしているところでございます。
 以上です。
■松下新平■
 ありがとうございました。民主党の案も相当盛り込まれたということでお答えをいただきました。
 事前に与党案とそれと民主党案と、それぞれ協議をされたとお伺いしておりますけれども、この合意に至った、合意形成の過程の話を少しお伺いしたいと思います。
■細野豪志 衆議院議員(法案提案者)■
 我が党がこの二法案を提出したのが二〇〇五年の十月でございます。その後、今回も改めて超党派でということで提出をしておりますが、自民党の方からも海洋構築物の安全水域の設定に関する法律案、これは公明党と協議をして出されておりまして、それが二〇〇六年の五月ということでございます。この辺りから与野党でこれを一緒にやろうという機運が出てまいりまして、昨年ほぼ一年間を掛けまして海洋基本法の研究会というのを超党派で開催をされまして、合意を目指してきたということでございます。
 そして、最終的にはそれぞれの党内手続を経て、今年になりまして、まあ最終的には委員長提案ということでございましたが、実質的には三党の共同の議員提案という形でこの二法案の法案の提出に至ったということでございます。
■松下新平■
 分かりました。
 民主党案、それぞれもう与党案よりも先に進められて準備をされたということですけれども、合意に至ってはいろいろ案を盛り込んでいただいたということでありました。
 ただ、その話合いの中で、やはり民主党案が通らなかったところもあると思うんですけれども、その違い点についてお伺いしたいと思います。
■細野豪志 衆議院議員(法案提案者)■
 まず、私どもが提出をしております海底資源開発推進法案につきましては、その中身がほとんど海洋基本法案の中に反映をされたというふうに思っております。むしろ、我が党は、これ資源開発にかなり限定をした案ということで出しておったんですが、それを海洋全体、すなわち海洋の環境であるとか産業の振興であるとか国際協力の進展、さらに最も大きなものとして離島の保全、これEEZを考えると大変大事でございまして、一例を挙げますと、沖ノ鳥島が仮に日本の領土でなくなった場合には、それだけで約四十万平方キロの排他的経済水域が失われます。この四十万平方キロメートルというのは日本の領土よりも大きい面積でございまして、それぐらい離島の保全がこの排他的経済水域の確保において大事だという認識を持っておりまして、それも入ったという意味では前向きにこの法案についてはとらえております。
 特に我が党案が反映をされたところといたしましては、司令塔不在のところに本部をつくって、そして担当大臣を置くというところが正に我が党が主張してきたところでございますので、それが反映をしたところを大変高く評価をしておりまして、海洋立国としての第一歩を踏み出す法案として、私どもは自信を持って提出をしております。
 ただし、残った課題といたしましては、先ほど少し答弁をいたしましたが、国連海洋法に基づくいわゆる違法な調査についての措置はまだこの法案には入っておりません。具体的には、日中の間には、争いを起こさないための日中口上書というのが存在をしておるんですが、この口上書に違反をして中国側が科学的調査をしているケースが散見をされます。毎年のように散見をされます。そういったものについてこの口上書に基づいて海上保安庁が取り締まれるかというと、これは国際約束、いわゆる条約のたぐいではありませんから、それはできません。そして、国連海洋法に基づいてできるのかというと、これも先ほど御答弁申し上げましたが、これも取締りということになってまいりますので、国内法の空白があるとできないというところでございまして、そこが課題として残っておりますものですから、今後、せっかくこういうベースができましたので、できるだけ国会において幅広い議論を行って、その国内法の空白を埋める努力については併せて行っていきたいというふうに思っております。
■松下新平■
 分かりました。
 最後に一点お伺いいたします。それは、海上保安庁の位置付けについてであります。
 船舶の安全確保や海上警備という危機管理体制など重要な役割を担う海上保安庁は、現在、国土交通省の部局ではなく、あっ、現在そうですけれども、より他の危機管理組織との連携が図られるような組織改編を行うべきではないかという声も聞かれますけれども、ここの点についていかがでしょうか。
■細野豪志 衆議院議員(法案提案者)■
 先ほどの答弁、若干付け加えますと、日中の間に口上書が存在をいたしますので、外交上、抗議はできます。ただし、その違法なものに対しての取締りができないということでございまして、そのことを付け加えさせていただきたいと思います。
 今御質問いただいた海上保安庁の問題でございますが、海上保安庁につきましては、今、国土交通省の方に存在をしておりまして、国土交通省というのは、これ言わずもがなですが、巨大な官庁でございまして、その中に危機管理の部門が海上保安庁ということで、その下に存在をしているという形になっております。
 私どもとしては、この法律が通ることによりまして、海上保安庁はより危機管理について具体的な様々な対応を迫られるであろうというふうに思っております。したがいまして、警察組織との連携、そして防衛省との連携が当然のことでありますが、そのほか資源エネルギー庁、水産庁などとの連携も非常に重要であるというふうに思っておりまして、それを今の国土交通省の下にある海上保安庁でやり得るのかということについては慎重に見ていきたいというふうに思っております。
 衆議院の方の決議でございますが、こういう部分がございます。「海上保安庁について、危機管理に関する関係行政機関との連携を含め組織体制の総合的な検討・充実を図ること。」ということでございます。
 今般、この法律が成立をいたしますと本部ができます。その本部の下で様々な危機管理的なことについても所管をすることになるということを想定をしております。その本部の基本的な意思に基づいて海上保安庁がきちっと機能をするのか、それとも国土交通省の中の組織としてとどまるのか、その辺りをじっくり見極めた上で、私どもとしては組織の在り方について変更が必要であれば海上保安庁を危機管理部門として位置付けるということについて再度検討をしていきたいと、そんなふうに思っております。
■松下新平■
 ありがとうございました。
 諸外国の例も参考にしながら組織をつくられたということですけれども、やはり冒頭に申し上げましたように、縦割りの弊害がやっぱり出ておりますし、指摘もされておりますので、緊密な連携という言葉はあるんですけれども、実際組織として私は更に独立した機関として海上保安庁を位置付けるべきだという観点からお伺いをいたしました。また、今後協議してまいりたいと思っております。
 どうもありがとうございました。
 残りの時間で、与党側法案提出者の皆さんと政府側に質問をいたします。
 まず、海上警備体制についてお伺いいたします。
 尖閣諸島などの領海問題がございます。我が国領海域の警備について強化の必要性が増していると考えます。この二法案が制定された場合に、海上警備に対する期待は高まってまいりますが、海上警備体制について法案提出者が期待するものはどのようなものでありましょうか。
■塩谷立 衆議院議員(法案提案者)■
 お答え申します。
 二法案が制定された場合には、これらの法律の趣旨にのっとって、当然海上警備の的確に実施されることが期待をされるわけでございます。ただいま細野議員からも海上保安庁についてお話がありましたが、海上保安庁については、海上の安全、治安の確保を任務として、領海警備、犯罪捜査等、海上における法執行機関として業務を実施しておりますが、この海上保安庁においてもその強化体制を整えて、また関係機関とも連携して海上の警備を万全にすることを期待をしているところでございますが、委員御指摘のとおり、いろんな縦割り行政の問題があって、先ほど細野委員から答弁ありましたように、衆議院の方でも特に危機管理に関する関係行政機関との連携を深めて組織体制の総合的な検討あるいは充実を図ることを決議したところでございます。
■松下新平■
 ありがとうございました。
 今期待をいただいたわけですけれども、同じ質問になるんですが、海上保安庁にお伺いいたします。この基本法が制定された場合に警備体制の増強も検討されていると伺っておりますけれども、いかがでしょうか。
■石川裕己 海上保安庁長官■
 現在、海上保安庁は航空機が七十二機、巡視船艇が三百五十六隻、これで警備救難その他、様々な仕事をやっております。今お話しのように、この二法が成立しますれば、ますます我々の仕事、重要になってくるということだと思っております。
 ただ、その中で、実はこれらの船、飛行機につきましては昭和五十年代に整備されたものが多くございまして、犯罪の取締りや海難救助に一部支障を生じているようなこともございます。さらには、新しいこのような海洋権益の保全などなどにつきましては、飛行機あるいは巡視船艇の性能を上げる必要がございます。例えば高速化であるとかあるいは夜間対応能力であるとか、そういうようなことが必要だろうと思っております。
 したがいまして、私ども、先ほど申し上げました全体三百五十六隻の巡視船艇、航空機七十二機のうち、老朽化あるいは旧式化の進んだ巡視船艇では約百二十隻、航空機につきましては約三十機、これについての代替整備等を緊急に行う必要があるというふうに考えておりまして、十八年度予算から本格的に着手したところでございます。十九年度予算におきましても、巡視船艇の新規十二隻、継続十五隻、航空機、新規二機、継続十機、このような代替整備等を図るための経費というものを予算計上をさせていただいております。できるだけ早く、これらの老朽化したものについての巡視船艇、航空機の早期解消というものを図ってまいりたいと考えております。
 さらには、人員でございますけれども、現在、海上保安庁の人員は一万二千三百人余でございます。これらの人員の中で様々な仕事をやっているわけでございますので、私どもの任務をきちっと果たせるように、この人員の増強ということについても引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
■松下新平■
 よろしくお願いいたします。
 それでは、法案提出者の皆さんにお伺いいたします。
 海洋基本法案の二十条ですけれども、これは日本船舶の確保、船員の育成及び確保の条項なんですけれども、この文言を盛り込んだ趣旨は何でしょうか。
■大口善徳 衆議院議員(法案提案者)■
 先生御指摘にもありましたように、エネルギーの九三%、食料はカロリーベースで六〇%を海外に依存しておりまして、重量ベースで貿易量も九九・七%、国内輸送の四割を海上輸送で担っていると。こういうことで、我が国の経済、国民の生活に非常に大きな役割を担っているのが海上輸送であります。
 ところが、今、外航海運についていいますと、この日本の船籍の総数、これは昭和四十七年、ピーク時で千五百八十隻あったんですね。それが平成十七年は九十五隻になった。それから、外航の日本人船員は昭和四十九年、五万七千人、これがピークでした。それが平成十七年で二千六百人になっていると。こういうことで、外航については日本船籍が非常に激減している、また日本人の船員も激減していると、こういう状況でございます。また、その中に団塊の世代、これも多くなっている。
 内航海運につきましても、船員の高齢化、後継者不足がこれが顕在化していて、国内物流の基幹としての安定的な輸送の確保においても憂慮すべき事態にある。そこで、国として効率的かつ安定的な海上輸送の確保を図るために、日本船舶の確保、船員の育成及び確保その他の措置を講ずると、こういうことで第二十条を策定したわけでございます。
 いずれにしましても、この諸外国と我が国の間の国際競争条件の不均衡、この是正をしないとこういう傾向はこれを歯止めができないと。そういう点で、税制においてもトン数標準税制、こういうものを平成二十年度の税制改正から導入してまいりたい、そういうふうに私ども努力してまいりたいと考えております。
■松下新平■

 ありがとうございました。じゃ、それを踏まえて国土交通省にお伺いいたします。
 本法案でも日本船舶の確保、船員の育成及び確保、港湾の整備などが挙げられておりますけれども、中でも日本人船員の育成と確保は重要と考えております。自動航行中の針路の見張りを怠り、漁船など他の船舶と衝突する海難事故も多数起こっている現状を考えますと、船員数の確保は急務であると考えておりますが、今後の取組についてお伺いいたします。

■冨士原康一 国土交通省海事局長■
 船員の育成それから確保の問題でございます。非常に日本経済を支える基本的な人的なインフラであるというふうに私ども承知してございまして、一方でこれがかなり脆弱化してきているという状況について、私ども非常に強い懸念を今抱いている状況でございます。
 数的な御説明はただいまございましたので重複を避けたいと思いますが、大きな方向としては二つあるというふうに考えてございます。
 まず、外航海運につきましては、現在二千六百人というところまで減少しているわけでございまして、今後いかにして優秀な船員、海技者を確保、更に増大をさせ海技の持続可能な伝承を図っていくのかというのが外航海運の船員の問題でございます。
 それから、内航海運につきましては、安定輸送を支える専門技術者としての優秀な船員、海技者の後継者をいかにして確保、育成し、世代交代を円滑に進めていくのかというところが大きな課題であろうというふうに考えてございます。
 このため、私どもいたしましては、船員教育のあり方に関する検討会というのを設置してございまして、ニーズに沿った質の高い船員の養成に向けた教育システムの改革をまず進めようということで検討してまいってきております。
 また、さらに本年の二月に、交通政策審議会に対しまして、今後の安定的な海上輸送の在り方について諮問をいたしました。ここで、先ほど御説明ありましたトン数税制の問題も含めて、船員減少の一つの要因となっております内外の制度格差の是正も含めた広い視野から、外航海運の在り方あるいは船員教育の在り方について御審議をいただいておるという状況でございます。
 具体的には、ヒューマンインフラ部会というのも設置されてございまして、そこで先ほど申し上げました船員教育のあり方に関する検討会の結果も踏まえながら、今後の日本人船員の外航あるいは内航を含めた確保、育成策について審議をいただいているということでございます。
 本年六月を目途に、六月に中間取りまとめをしていただくということで今作業を行っているところでございまして、今後、それを踏まえた上で、来年、平成二十年の所要の法整備も視野に入れながら私どもとしては本件に取り組んでまいりたいというふうに考えているところございます。
■松下新平■

 ありがとうございました。
 続きまして、法案提出者にお伺いいたします。
 海洋基本法案二十八条ですけれども、これは海洋教育の条文でございます。
 まず、この趣旨についてお伺いいたします。

■大口善徳 衆議院議員(法案提案者)■
 海洋国家、そしてまた海洋立国を目指す我が国は、やはり海を知る、海を守る、海を利用すると、このバランスの取れた政策を推進していかなきゃいけないと思います。特にこの海を知るということが非常に大事でございまして、海を知ることによってやはり担い手というものが育ってくる。また、海洋科学技術については日本は世界一のそういう技術も持っていますね。そういうことで、そういうものも発展させていかなきゃいけない。
 そうしたことから、我が国が世界を代表する海洋立国として海洋に関する内外の政策課題に的確に対応するために、海洋に関する知識、能力を有する人材の育成が必要であると、大学、大学院、大学校等において学際的な教育及び研究が推進されるような措置を国が講ずるよう努力をすべきであるということにした次第でございます。
 また、学校教育、社会教育において、子供のころから海洋に慣れ親しむことが、これが国民が海洋について理解と関心を深めることになるということでございまして、この点も非常に重要である。
 そのようなことからこの二十八条を策定したわけでございます。
■松下新平■

 ありがとうございました。
 それを踏まえて文部科学省にお伺いいたします。
 海洋国家である日本において、海洋の重要性、これは環境保全面、貿易面、鉱物資源面、漁業資源面、領土面、それらを子供のころから認識させることも重要と考えます。この法案では、学校教育、社会教育における海洋に関する教育の推進がうたわれております。海洋に関する教育推進のためのカリキュラムの充実は大変重要であると考えております。
 しかし、学校教育で海洋に関するものはどの程度あるか調べてみましたところ、小中の義務教育の学習指導要領には海という字は出てきておりません。もちろん、総合的な学習の時間での取組はなされていたと推察はいたします。
 ただし、海洋教育の現状を教科書の記述から調べた日本大学理工学部の横内憲久教授の論文によりますと、義務教育、小中学校の社会、理科、生活、地理、歴史などの教科書を調べたところ、海に関する記述は教科書総ページ数の三・一%であるという結果が報告されております。海洋基本法案が成立しても、国民が海に関する関心を持てなくなってしまうことを危惧しております。
 海洋教育を充実していくことで我が国の海洋国家としてのアイデンティティーを確立することが必要であると思います。今回、海洋基本法案に盛り込まれたことで文部科学省としてどのように推進していくお考えか、御所見をお伺いいたします。

■布村幸彦 文部科学省大臣官房審議官■

 お答えいたします。
 海に囲まれた我が国にとりまして、国民一人一人が海洋についての理解と関心を深めることは重要な課題と認識しております。義務教育を含めまして学校教育におきましても、小中高等学校の発達段階に応じまして、社会や理科などにおいて海洋に関する学習を行うことといたしております。
 具体的に、例えば小学校の社会科においては、第五学年におきまして、国土の位置の学習の中で、日本の周りの海について地図帳などを活用して調べる学習を行っております。また、海洋に関する産業である水産業についても学習する中で、水産業の果たす役割、主な水産物の漁獲量や主な漁港などの分布、水産業に従事している方々の工夫や努力などについて直接子供たちが調べる学習も行っております。
 中学校の社会科におきましては、地理的な分野におきまして、日本の周辺の海や海岸、海流、海溝、大陸と海洋の分布などについて地球儀や地図を活用しながら学習を行っております。また、公民的な分野というところでは、国家間の相互の主権の尊重と協力についての学習の中で、領海、領土、領空などについて学習することをしております。
 これらはいずれも教科書においても取り上げられ、地図、あるいは公海、経済水域、領海などについても具体的に取り上げられているところでございます。
 現在、教育課程の基準の見直しの作業を文部科学省において行っているところでございますけれども、その審議の中では、今回の海洋基本法案の御趣旨、それからまた、今回の見直しの中でも、国家社会の形成者としての資質の育成を図るための基礎的、基本的な知識、技能として、我が国の領土など国土の地域構成を確実に定着させることが重要であるという方向も出ておりますので、この海洋基本法案の趣旨などを踏まえまして、学校教育におきまして海洋に関する教育が適切に行われるよう今後とも努めてまいりたいと考えております。

■松下新平■

 ベトナムでは、金の森、銀の海という、豊かな自然に恵まれているという教育をされているそうであります。それに対して日本はいかがでしょうか。狭い国土で資源も乏しいということを植え付けるような教育になっているのではないでしょうか。日本の教育においても、この海、海洋に関してポジティブな姿勢でこの重要性についてしっかり教育をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 もう時間も迫ってまいりましたけれども、文部科学省にもう一問お伺いいたします。
 平成十四年八月の科学技術・学術審議会、長期的展望に立つ海洋開発の基本的構想及び推進方策について答申が出されております。その中に人材育成の推進の項目がありまして、海洋教育の充実として、大学・大学院や水産系の高等学校等の教育において海洋科学技術の分野や海洋に関する国際・国内ルール等について幅広い知識を有した人材の育成を推進し、国際的な立場で活躍できるようにすることが必要である、中略、その際、海洋に関する教育が社会に理解されるよう、学部や大学院の専攻名に海洋を用いる等の工夫をすることも重要であると書かれております。
 しかし、高等教育の場である大学、国立大学の理工学部には海洋学科というものがないそうであります。旧東京商船大学である東京海洋大学はありますけれども、平成十八年度の全国大学一覧を見ても、四年制大学で海洋を学科に掲げているのはゼロだそうです。お隣の韓国では、海洋学科がある大学は十二校もあるそうであります。
 答申でこのように重要性を指摘されているにもかかわらず、専攻名に海洋を用いる等の工夫は依然としてなされていない現状であります。今後の海洋に関する様々な研究や技術開発などが世界に後れを取ることなく発展していくために、やはり高等教育の充実が求められます。
 文部科学省は、今後の高等教育における海洋関連教育研究についてどのように充実を図り推進していくお考えかをお尋ねいたします。

■辰野裕一 文部科学省大臣官房審議官■

 大学における海洋に関する人材育成につきましては、現在十七大学二十学部三十六学科にわたりまして、海洋学部、生物資源学部及び水産学部などの海洋関係の学部、学科において、海洋環境、海洋生物、海洋資源についてなど様々な角度からの教育研究の取組が行われているところでございます。
 最近の特徴的な取組の一例を挙げますと、先生御指摘ありました東京海洋大学、これは東京商船大学と東京水産大学が統合してでき上がったわけでございますけれども、その発足の当初におきまして、国際的視点での海の利用、資源の利用、海洋利用の政策提言を行える問題解決型の人材を育成するという観点から、平成十六年に海洋政策文化学科というのを新たに設置しておりまして、このような取組は、海洋に関する政策課題に的確に対応するために必要な知識及び能力を有するという海洋基本法案と方向を一にする取組だと考えております。
 また、海洋という名称を付した学科名もこれは増えてきておりまして、例えば東海大学の海洋学部では海洋文明学科ということで、これも幅広い立場からの政策提言を行える人材の育成というものを行っておるところでございます。
 今後とも、海洋にかかわる人材の育成ということの重要性にかんがみまして、海洋基本法案の趣旨も踏まえたこれらの積極的な取組に関しまして、引き続きしっかりと支援をしてまいりたいというふうに思っております。

■松下新平■

 よろしくお願いいたします。
 もう時間も参りましたので、最後にまとめをしたいと思います。
 海洋についていろいろ質疑をさせていただきました。日本が、面積だけでも世界六位ということもありますし、また様々なことでこの海洋は永遠にこの日本に恩恵をもたらしているわけであります。教育の世界、教育の分野でもしっかりこのことを伝えることも重要であるということも指摘させていただきました。
 今、憲法改正、この政治日程に具体的に上がるところまで参りましたけれども、私はこの海洋という言葉を環境という言葉とともにこの憲法の中に位置付けるべきではないかという考えを持っております。申し上げてまいりましたように、海洋国家を標榜する日本、そしてそこからたくさんの恩恵を受けている日本、この憲法の中に海洋国家としての日本の位置付けをしっかり明確にするためにも、この憲法の中でも具体的に論議していきたいと思っております。
 また、日本近海でのメタンハイドレード等の開発も大変期待をされておりますし、また最近、この海洋とまた別次元ですけれども、宇宙開発議員連盟が与野党に設置されたとお伺いしております。未知の部分で共通するところがあると思いますが、そちらともまた連携を取れるところはしっかり取っていただきたいと思っております。
 そろそろ時間も参りましたので、こちらで私の質疑は終わらせていただきたいと思っております。
 本日はどうもありがとうございました。

委員会発言等TOPへ戻る