参議院農林水産委員会−

−「農業近代化資金助成法改正案」−
平成17年3月29日(火)
■松下新平■
 民主党・新緑風会の松下新平です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回議題の農業近代化資金助成法改正案について質問いたすわけですけれども、その前に、最近の諸課題について二、三お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、BSE、米国産牛肉輸入再開の問題についてですけれども、衆参予算委員会でもう度々取り上げられております。その後の状況あるいは今後の対応についてお伺いしたいと思っております。
 過日、ライス国務長官が来日されまして町村外相との会談がセットされました。その際、ライス長官は、米国産牛肉は安全であると信じている、米国は本件に関する国際基準を満たしていると述べられたとされています。しかし、米国内の基準はトレーサビリティーなどの面からも不十分でありますし、米国の月齢判別方法は肉質による判別方法であって、昨年十月に日米間で合意された二十か月齢以下の牛由来の牛肉の判別法であるA40という規格は米国内の牛肉流通のために作られた規格であるとも聞きます。また、彼らの言う国際基準とは、三十か月齢以下由来の牛肉を輸入するということでありますし、これで輸入再開した場合は本当に国民の安全を守ることができるのか、非常に危機感を覚えております。
 ライス長官の言う国際基準での解決とは、SPS協定やOIEの基準があると思います。多くの国はOIE基準よりも少し厳しい検疫措置を予防的な意味から採用していると言われております。我が国も独自の厳しい基準を措置するとして採用することは、食の安全上、国際的にも何ら問題はないと思われます。
 そこで、米国が我が国をWTOの定める国際基準よりも厳しい措置を講じていることを理由にWTOに提訴した場合に、科学的な措置をとっている我が国は逆にWTOに提訴すべきではないかと考えます。穏やかではありませんが、それぐらいの腹積もりが必要だと思っておりますが、いかがでしょうか。
■中川坦 農林水産省消費・全局長■
 動物検疫措置の適用についてのお尋ねでございます。
 今先生がおっしゃいましたように、WTOのSPS協定におきましてルールが定められておりますけれども、こういった国際基準がある場合には、原則としてそれに基づいて措置を講ずるというのが一般的なルールでございます。
 ただ、このSPS協定では、科学的に正当な理由がある場合には、OIE等の国際基準を超えて、言わば上回る厳しい検疫措置をとることができるというふうにされております。現に、各国の状況を見ますと、BSEに関しましては多くの国が予防的にOIE基準よりも厳しい検疫措置をとっているというのが実態でございます。
 そこで、仮に米国が我が国の輸入停止措置につきましてWTOに提訴をする、そういったことが仮に起こったとしました。その場合には、WTOのルール、先ほど言いましたように科学的に正当な理由があればそういう措置はとれますので、日本の措置の科学的根拠についてきちっと主張し、米国の主張に反論していくというのが私どもの基本的な立場でございます。
■松下新平■
 じゃ、さらに、我が国が輸入を停止しているということで、米国内では議会を中心に経済制裁をすべしという意見が台頭しているようですけれども、輸入を停止していることが国際協定、例えばWTOの法定違反になることがあるのでしょうか。もし我が国に非がないのであれば、経済制裁をされたというところで堂々とWTO等国際交渉の場で争えばよいと思いますが、いかがでしょうか。
■中川坦 農林水産省消費・全局長■
 禁止をしているというその状態について適切な理由があれば、そのこと自身は今申し上げましたように直ちにWTOのルールに違反をするということではないというふうに思います。
 それから、制裁云々という話がございましたけれども、これは基本的には、まずは、一国が単独でそういった措置をとるというのではなくて、二国間で、二十三条協議ということだったと思いますが、そういった形で協議をし、その協議が調わない場合には改めてWTOの方に提訴をするというのが今の協定上の定められた手続でございますから、そういった手続を取ることなく一方的な措置をとるというのは、国際的なルールにも照らしても疑義のあるところだというふうに思います。
■松下新平■
  昨日、BSE国内対策の見直しを審議されております食品安全委員会プリオン専門調査会が開かれました。全頭検査から二十か月齢以下の牛を対象から外すという緩和策について、BSE感染のリスク変化は非常に低いレベルの増加にとどまるとの答申案を取りまとめたと報道されております。これは農林水産省と厚生労働省が諮問したものに対する答申であります。今後は、食品安全委員会で輸入再開の条件などについて改めて諮問し、審議されることになります。
 先日、OIEがBSEの安全基準について、特定危険部位を除去した骨なし牛肉などを検査なしの無条件で輸出入を認める安全品目に加えるとする技術改定案を総会に提出するとの報道がありました。これに対して島村大臣はよく言っていただきました。なぜここまで踏み込んだ考え方が出てくるのかいささか首をかしげると記者会見で発言をされていらっしゃいます。
 二月の日米の専門家会合で輸入条件を肉質判別法でもよいとしたのは、米国の強い要求を受けて譲歩したものであると言われております。我が国は、その判別法の精度を検証するためのデータを輸入開始前から輸入再開後まで求めているものに対し、米国は輸入を先行し、精度を確認しながら本格導入することを考えていたようであります。これについて、最近の報道では、米国は、輸入再開前だけではなくて、再開後の検証も含めてデータを提供することには応じられないと拒否する方向だと伝えられております。
 そこで、このようなOIE基準の動き、肉質判別法の精度検証に対する米国の非協力的な姿勢など、牛肉の輸入に関する動きが安全性に対して疑念を抱かせる方向に展開しつつあります。そうした状況を踏まえた上で、島村大臣は食品安全委員会に牛肉の輸入条件に関してどのように諮問をするおつもりなのでしょうか。さらに、当然、特定危険部位の除去が適正にされているのか、肉骨粉などえさによる交差汚染がないのか、肉質判別法の是非まで含めて厳正に審議を求めるという諮問内容であるべきだと考えますが、こうした内容を今回の諮問に盛り込むことは考えていらっしゃるのでしょうか、お願いします。
■中川坦 農林水産省消費・全局長■
 まず、手続のことについて私の方から御説明申し上げます。
 国内措置については、先生御案内のように、今、プリオン専門調査会での議論が収れんをしたということでございますが、食品安全委員会の方では、この後パブリックコメントに付して、その後で正式の答申がなされるものというふうに思っております。
 国内措置についての正式の答申をいただいた後に、今度は外国からの、アメリカからの牛肉の輸入条件について、改めてその条件を消費者の方やあるいは関係者の方々との意見交換に付した上で、そして食品安全委員会の方に諮問をしたいというふうに思っております。その際の、諮問の、具体的なことはこれから詰めるということでございますけれども、基本的な考え方は、外国から入ってくる牛肉の安全性について食品安全委員会で審議をしていただく、そういう趣旨からの諮問をしたいというふうに思っております。
■島村宜伸 農林水産大臣■
  今、中川局長から御説明したとおりでございまして、具体的な諮問内容につきましては、現在食品安全委員会で最終的な審議が行われている国内措置見直しの答申を受けてから消費者等との意見交換を行い、その結果を踏まえて検討すると、こういうことでございますので、したがって、現段階で具体的な諮問内容が決定されたという事実はございません。
 その検討に当たっては、あくまで、従前から申し上げているように、科学的知見に基づき、食の安全、そして安心の確保を大前提に対処してまいりたいと、こう考えておるところであります。
■松下新平■
 テレビでも特番を組まれて、ずっと放映されておりまして、国民の関心も高いと。アンケートはやはり慎重な意見が強いようでありますので、今後も引き続き対応の方をきちっとしていただきたいと思っております。
 次に参ります。
 FAO、国連食糧農業機関の報告書、マグロの乱獲についてお伺いいたします。
 先日の新聞報道で、FAOがまとめた報告書に関する記事がございました。その内容は、世界の主要漁場における正確な漁獲量データが得られる約百四十余りの漁業対象資源を海域と種類ごとに評価したもので、ミナミマグロなど二四%は乱獲で量が減っております。漁獲規制を進め、資源の回復を図る必要があるとされております。
 そこで、この報告書でこのような評価がされたことについて、農林水産省としての見解をお伺いいたします。
■田原文夫 水産庁長官■
 お答え申し上げます。
 先生が御指摘になられましたのは、FAOが出しております世界の漁業と養殖業の現状の二〇〇四年版ということでございまして、この資料によりますと、二〇〇三年の時点ということになりますけれども、マグロ類全体で約四割が過剰漁獲ないしは枯渇状態にあるというふうな指摘がされております。
 この状況の背景ということでございますけれども、基本的に高度回遊魚種でありますマグロ類につきましては、例えば大西洋でございますとICCATですとか、太平洋の中部ですとIATTCですとか、いろんなマグロの国際漁業管理委員会がございます。こういったところで国際的な資源管理の枠組みというのがあるわけですが、この枠組みを逃れて、いわゆるIUU漁業、すなわち違法かつ無報告・無規制の漁業、こういったことが行われているということが基本的に問題、こうした資源枯渇状態をもたらしているんではないかというのが私どもの基本的な認識でございまして、我々といたしましては、こうしたIUU漁業の絶滅といいますか根絶といいますか、そうしたことを目指しまして、資源の持続的に利用していく上での状況の改善を図っていく必要があると、かように考えている次第でございます。
■松下新平■
  私としましては、二〇〇二年の環境開発サミット行動計画での、二〇一五年までに漁業資源を回復させるという目標の達成の必要性はもちろんですけれども、世界最大のマグロの消費国である我が国は、消費者、漁業者ともに考えなければならない重要な問題であります。持続可能な水産資源の確保、回復は、我が国としても他国に率先して取り組むべき命題だと考えております。
 そこで、農林水産大臣、この問題に今後どのように取り組まれていかれるのか、お伺いいたします。
■島村宜伸 農林水産大臣■
 マグロは広く海洋を回遊するために、関係国が、大西洋とかインド洋とか海域ごとに設けられている言わば国際機関である海域漁業管理機関を通じてその資源を管理しておるのが現状であります。
 農林水産省といたしましては、これらの国際機関を通じて、関係国と協力しながら、資源状況に見合った漁獲量の設定や正規操業船の登録などの措置を講じ、マグロ資源の適切な保存管理を推進し、その言わば持続的な利用を図ってまいりたいと考えているところです。
 最近の漁業全般に言えることですが、やはりただ取るのではなくてつくり育てるというのを基本に置きまして、先般、私どもの言わば調査によりましても、近畿大学で大変有力な養殖の言わば技術が開発されたように伺っておりまして、常田副大臣は現地へ赴いていろんな調査されたようですが、将来に向かっては大変内容のいい有望なものだというように報告を受けたところであります。
 しかしながら、マグロの資源の現状を考えますと、乱獲の結果と言えるんでしょうか、極めて資源が減少し、言わば枯渇と言っても決して言い過ぎでない、そういう状況すら予測できると、こういうことでありますから、正にこれからの管理を徹底して、正に最大の需要国である日本の国の責任を果たす、これが我々の考え方でございます。
■松下新平■
 引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、各市町村にございます農業委員会についてちょっとお伺いしたいと思っております。
 新基本計画の中心課題ともなっております担い手育成と農地の利用集積、耕作放棄地の解消などの業務は農業委員会が担うものとされております。しかし、農業委員会については、現場でいろいろお伺いしますと、その力量が弱いと指摘する声もございます。本来の力をきちんと行使できれば担い手育成、農地利用集積はもっと進むはずだということです。
 そこでまず、農業委員会の役割についてどのように認識されているのか、お伺いいたします。
■須賀田菊仁農林水産省経営局長■
 農業委員会、各市町村の行政委員会でございます。農地の一元的な管理主体、農地は農家の代表によって管理する、こういう基本的な考え方に基づきまして、担い手に対する農地の利用集積といったことを中心として、担い手の育成確保等について重要な役割を果たしていただくということになっているわけでございます。昨年も法律改正を行いまして、その業務をこの構造政策の推進という関係に重点化をして、ちゃんと役割を果たしていただきたいというふうにしたわけでございます。
 先生もおっしゃるように、確かに、私ども聞いておりますと、活発なところ、あるいはそうではないところあるようでございます。今般の基本計画におきましても、担い手への利用集積でございますとか、耕作放棄地の解消でございますとか、優良農地の確保でございますとか、いろいろな役割を担っていただくということにしておりまして、やはりこういう構造政策を進めていくというためには、待ちの姿勢ではなくて、やはり積極的に農業委員会がリードしていく。農業委員会だけで行けないところは、ほかの農業団体、例えば農協だとか、他の行政機関、例えば普及でございますとか、そういうところと一体となって構造政策に向けた活発な活動をお願いをしたいというふうに思っております。
■松下新平■
 そのとおりだと思います。
 農業委員会の本来の役割を果たすためには一定の財政的な裏付けが必要であります。しかし、今回の三位一体改革で農業委員会交付金が補助金廃止及び税源移譲の対象となりました。税源移譲をするとしても、財政基盤の弱い中山間地域の市町村では、農業委員会の活動、必要な財源が確保できない可能性があるのではないかと心配の声も聞きます。
 そこで、農業委員会の活動に支障が生じるのではないか、また、あるとしたら、それを防ぐためにはどのような対応を取られるつもりか、お伺いいたします。
■須賀田菊仁農林水産省経営局長■
 今般の三位一体改革で税源移譲をいたしました各種事業、その前提といたしましては、やはり税源移譲をしても今後確実に執行されるということが担保されるということを前提としているわけでございます。農業委員会について考えますと、その事業経費は基準財政需要額に算入をされておりますし、長い間にわたりまして自治体の業務として定着しているという事情がございます。
 私どもとしては、農業委員会の業務は引き続き法律で必置ということでございまして、制度的には業務継続が担保されるようにしている。そして、税源移譲はいたしましたけれども一部にとどめまして、国として最低限必要な額については留保をしておるということでございまして、今後、こういうこと、そして適切な指導を通じて農業委員会がその業務を確実に実施をしていただける担保があるというふうに考えております。
 私ども、今後とも農業委員会の業務の実施状況を的確にモニターをいたしまして、必要に応じまして指導、助言といったものをしていきたいというふうに思っております。
■松下新平■
 よろしくお願いいたします。
 市町村合併が進展して、また、政府の行政改革議論から、農業委員会の設置数は年々減少してきております。昭和二十六年に全国で一万一千を超えていたものが平成十四年には三千と減少しております。それと同時に、農業委員数も昭和六十三年に六万二千人だったものが平成十四年には五万八千名と減少しております。農業委員一人当たりの守備範囲は年々増加しているということになります。
 そこで、このような現状の中で、新たな基本計画が農地の利用集積と担い手育成を大きな目標に掲げている一方で、この、末端の行政機関である農業委員会が本来の機能、役割を発揮するには厳しい状況であると思われております。新たな基本計画の策定という節目に、今後、農業委員会について、農地政策上あるいは担い手政策上どのように位置付けておられるのか、お伺いいたします。
■島村宜伸 農林水産大臣■
 農業委員会につきましては、農地を担い手へ利用集積するなど、構造改革を進める上で農村において極めて重要な役割を担っていると、こういう認識をいたしております。
 このため、新しい基本計画におきましては、農業委員会の役割として、一、担い手に対して集団化、団地化した形で農地の利用集積を促進すること、二、耕作放棄地所有者などへ指導を強化し、耕作放棄地の発生防止、解消を図ること、第三に、不法投棄などの違反転用事案について、都道府県と連携して迅速な対応を図ることなどを位置付けたところであります。
 なお、食料・農業・農村に関する団体の一つとして、農業委員会の系統組織についても、諸制度の在り方の見直しと併せて、効率的な再編整備や体制の見直しを行うことについて基本計画に定めたところであります。
■松下新平■
 引き続きよろしくお願いいたします。
 本題の農業近代化資金助成法改正案についてお伺いいたします。
 まず、三位一体改革と総合交付金についてであります。先週閣議決定されました新しい食料・農業・農村基本計画では、その基本的視点の中で、「農業者や地域の主体性と創意工夫の発揮の促進」として、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にとの考え方に基づき、規制改革や三位一体改革、市町村合併の動き、地域再生の取組の動向等も踏まえながら、民と官、地方と国の役割分担を明確にすると記述されています。これを見る限りでは、ある程度は地方の主体性に任せながら、国の役割はきちんと残すとも読めます。
 農林水産省は、今年度予算からこれまでの百七十五事業を七つの交付金に統合して、地方の自由度を高め、裁量に任せるとされていますが、実際にそうなるのでしょうか。これまでの補助金行政では各補助金メニューごとに採択条件、基準や用途などの細かい事業要件がありましたが、今回の交付金化での事業採択ではこれまでのような事業要件はどのようになるのでしょうか。お伺いいたします。
■小林芳雄 農林水産大臣官房長■
 非公共事業の交付金化の関係でございます。
 今も先生御指摘ございましたように、国全体としての一つの政策目標、これをきちんと進めながら、やはり農政は現場の裁量といいますか、いろいろなやっぱり地域の特性を生かしていくと、このための補助制度の仕組みとして何がいいかという、そういう観点で整理したものでございまして、今のお尋ねの具体的な要件がどうなるかということについて申し上げますと、これまでの補助事業について見ますれば、やはり事業の重点化、効率化ということはこれ必要でございまして、非常に基本的な要件がございます。例えて言えば、受益面積が一定規模という形で一つのくくりにしていくとか、それから認定農業者の増加、こういうものも求めていくとか、こういったような基本的な要件につきましては今後ともいろんな交付金の中でも一つの方向として位置付けていきたいということがございますが、一方で、これまでの補助事業の実施に当たっての問題点は、特に採択時に個々の施設の設置の位置ですとか構造ですとか、こういった細かい細目を、非常に事業の具体的な内容まで含めて国が事前審査を行っていたということでございまして、これはなかなか先ほどのような趣旨からいってちょっと今後直すべきじゃないかということがポイントでございます。
 したがいまして、特に今回の交付金化では、言わばその入口重視という形からこれからは出口重視の考え方でいこうと、言わば事後評価を重視するということにしておりまして、その意味で、採択時にはこれまでのような事業内容の細部までの審査を行わずに、むしろ事後評価という形でその政策目標の達成を図っていくというところが大きな点でございまして、この点で地方における自由度が大幅に拡大するものというふうに期待しているところでございます。
■松下新平■
 これら七つの交付金はそれぞれの補助金を統合したものであると思います。交付金化によって地方の自由度を高めているとされております。しかし、交付金の交付手続には、今後定めるということですが、交付金化するということは、地方がその実情に応じた使い方ができるように、ひも付きではない、いわゆるひも付きではないお金として、裁量性、自由度の向上です。その交付金の手続の中でどの程度地方の実情に合った自由な裁量が生かせるものなのかということが重要です。
 そこで、新しい七つの交付金の交付手続策定に関する考え方、方針についてお伺いいたします。
■小林芳雄 農林水産大臣官房長■
  手続の関係についてまた少し具体的に御説明申し上げますが、まず各都道府県におきましてその管内の市町村でありますとか関係団体、皆さんの意向を踏まえて、どういう目的でどういう取組をするのか、そういうような正に成果目標含めて事業計画を作ってもらうわけですが、これは交付金ごとでございます、交付金ごとに都道府県一本の計画を作ってもらって私どもの方に提出していただくと。私どもそれを受けまして、その計画の中身を精査いたしますが、まずその成果目標、これが国として目指す政策方向に合致しているかどうか、また計画の概要がその成果目標達成にふさわしい内容かどうかということを中心に審査をしていきたいと思っております。
 したがいまして、これまでのやっぱり補助事業の手続と比べますと、統合によりまして都道府県から国に対して提出する計画数が、今までは端的に言えば百七十五ぐらい必要だったんですが、これが七つになるということで、この面の事務的な、何といいますか、簡素化が非常に大きいということでございますし、それから国の方、私どもの審査もその事細かな内容の審査ではなくて、目標が適正かどうかという成果目標ということにありますので、そういう意味での地方にとっての裁量、事務の簡素化というものは大きいと思っております。
 また、交付申請の回数なんかにつきましても、基本的にはこれまでの補助金と同様に、病害虫とか災害対策は別ですけれども、一般的な交付金の場合には原則として年度当初に一回ということでございますが、交付金化に伴いまして、その年度途中でいろいろな変更事由が生じた際ですが、これにつきましても基本的に地方の自由裁量でやっていただくということになりますので、この面でもこれまでと比べて大幅に地方の裁量の拡大に役立っていくんじゃないかというふうに期待しているところでございます。
■松下新平■
 市町村の現場からは、多数の事業を束ねた交付金であるために交付申請手続の方法、交付時期に関して複雑になるのではないか、不安の声が聞かれております。
 例えば、キュウリの選果機械を導入したいと考える市町村があったときに、強い農業づくり交付金の申請を行おうと都道府県に上げても、その段階ではほかの複数のメニューと併せて申請する場合もあるため、交付決定までに時間が掛かる、その交付時期がキュウリの最盛期に間に合わないのではないかという具体的な不安の声を地元で聞いております。これに対して当方で問い合わせました。担当課からは、農林水産省に申請が上がってきたら決定までは早いと回答がありました。しかし、農林水産省に上げるのは都道府県でありますし、その各都道府県ごとに取りまとめの時期、申請時期にもばらつきがあるようであります。すべての交付対象事業が出そろうまで申請しないなどの県もあると聞きますし、こうした場合、時期がずれ込んで対象作物の最盛期に間に合わないということも出てくるのではないかと心配の声も聞きます。
 そこで、各都道府県に対しては地方農政局から交付金の説明を行っているということですけれども、現実に都道府県ごとに対応にばらつきがあります、先ほど申し上げたように。どのように申請するかは都道府県の判断であるとしても、各都道府県も初めてのことであります。不案内なところもあるのではないでしょうか。生産者の不安を取り除くためにも十分な周知徹底が必要であると考えております。どのように対応されるのでしょうか。
■島村宜伸 農林水産大臣■
 今回の交付金化につきましては、三位一体の議論の中で、言わば当省の主張として様々な機会をとらえてそのねらい、趣旨について都道府県、市町村の方々に御説明をしてきたところであります。また、具体的な事務手続についてもこれまでと大きく変わることになることから、都道府県の担当者などに対し情報提供あるいは意見交換を行ってきたところであります。例えて申し上げるならば、強い農業づくり交付金では、一月中旬また二月中旬に農政局担当者会議を開催した上で、農政局担当者から都道府県担当者に御説明をいたしたところであります。
 いずれにせよ、今回の補助金改革については、いかに現場の声を生かし、地方の裁量性を高めていくかが最大の課題でありますので、今後の施行に当たってもより良い運用に努めてまいりたいと考えております。
■松下新平■
 今までの議論を踏まえまして、農業近代化資金助成法改正案についてお伺いいたします。
 先ほど岩永委員の方から質問がございまして、重複はなるべく避けたいと思っております。果たしてきた役割については大臣が答弁いただきました、様々な誘導策として重要な役割をそして一定の評価をされていると。私も同じであります。
 さて、島村大臣は、補助金の廃止と税源移譲に関する地方六団体の提案に対して当初は否定的な考えをされていらっしゃいました。昨年十月に農林水産省が示した代替案には補助金の廃止と税源移譲は盛り込まれていませんでした。特に大臣は、昨年十月の当委員会での私の質問に対して、農林水産行政の大目的である食料自給率の向上やあるいは国土環境の保全は、都道府県や市町村の領域を超える国の基本的な責務であり、国が責任を持って施策の実施を確保する必要があると答弁されています。その上で、農林水産関係の施策については、総じて財政力が弱い、そして農山漁村で行われている農林水産地域の推進に支障が生じることがないことを前提に我々はこれからの行政を進める必要がある、したがって、地方六団体の提案に沿って農林水産関係の補助金の廃止、税源移譲を行うということは言うべくしてなかなか困難であるともお答えになっています。
 また、農林水産省は、昨年十月の地方案への見解の中で、農林漁業金融関係補助金について、農林漁業の担い手の育成を図るため、国が担い手に直接働き掛ける重要な支援策で、全国的な視野に立って実施しているので、財政的にも国が統一的に支援し、国が責任を持って実施する必要があるとしていますし、その上で、仮に一般財源化しても、過年度貸付けに係る利子補給に要する義務的な経費が大部分で、地方の自由度は高まらないとまで書いています。
 そこで、このように農林水産大臣以下、一般財源化について否定的な発言をされていましたが、国と地方の調整を行って三位一体改革に政府として一体として取り組むとして、昨年十一月に全体像がまとめられました。その中で、農林水産省としては、今回の法改正につながる融資関係の五十億円を含む二百五十億円の税源移譲につながる改革が示されたのです。
 なぜ、これほどまでに補助金改革、税源移譲に突っ張っていた農林水産省が二百五十億円の補助金廃止、税源移譲を受け入れたのか、またそれを農林漁業金融関係補助金の五十億円を含むとした合理的な理由をお答えください。
■小林芳雄 農林水産大臣官房長■
 ちょっと昨年の経過がございますので、私の方から御説明申し上げたいと思います。
 私ども、今回の三位一体改革に当たりましては、今先生御指摘のように、正に国の立場で食料の安定供給ですとかそれから多面的機能、これどうやって生かしていくかと。そのためには、やはり国の一定の考え方の下で各地方が、例えばいろんなばらつきがあっても、それを全体として国の政策に沿った形のものをやっていかなくちゃいかぬということで、その基本はずっと貫徹したと思っております。これは大臣の正に指示の基本でございました。
 それで、例えて言いますと、いろいろな三千億を超える地方の提案がございまして、治山事業でございますとか、これはもう正に上流下流の関係でやっぱり国が国の立場でやっていくということでございます。それからあとは、農道整備とか圃場整備でございましたけれども、農道整備なんかは、これはむしろ連携事業という形で地方の裁量も生かしていくと。それから先ほどの非公の交付金という形で整理したわけですが、そういった中でのだんだん議論が進んでいきますと、そうはいっても、国のそういった監視なり責任は果たしつつ、地方の方でも定型的な業務とかあるいは地財措置がちゃんと対応できると、そういうところは今、私ども、大臣が申し上げたそういう方針とも沿ってやれるわけで、そういうところは税源移譲を考えてはどうかと。
 具体的な条件としましては、一つは、対象事業が地域的に著しく偏在するとか、一時的な政策に基づくとか、言わば事業の性格として同化定着している、財政的には基準財政需要に参入できると、地方としてちゃんとやってもらえるという、そういった面ですね。これは私どもずっと、地方の財政力格差がありますから、国が単純に手放しただけでは地方が事業ができませんと、そういう懸念を払拭できる、そういった要件です。
 それからもう一つは、例えば税源移譲後、対象事業が地方公共団体の適切な裁量を生かしながら確実に執行される担保があると。これは経営局長が答弁しますが、例えば、法律、近代化資金助成法があって、それを基に県がやってもらえると。そういった要件を満たすものについては、これは繰り返しになりますけれども、国の方の要請と地方の要請、これを両方満たせるという形で、その二百五十億の税源移譲をしようという形で結論になったということで、当初から大臣の指示なり申し上げている方向に沿ってまとめてきたという結果でございます。
■松下新平■
 限られた時間ですので、最後の質問に入ります。
 農業近代化資金の融資実績は、昭和三十六年の制度創設から平成十五年に二千九百九十四億円とピークを迎えました。その後、近年では急激に減り続けております。平成十五年には六百十億円と、ピーク時の二割程度まで落ち込んでおります。これは、全体の融資枠として三千五百億円のうち六百十億円でありまして、利用率でいえば二割を切っております。これは、ほかの要因もあるとは思いますが、平成十四年の制度改正において貸付対象が認定農業者等の担い手を対象とするようにシフトされたことが大きいのではないでしょうか。
 農林水産省の政策は、新しい食料・農業・農村基本計画を見ても、農業の担い手に対して施策を集中しようとしているとしか見えません。それに合うように、全体の融資実績の中に占める認定農業者の融資額は、平成十四年度、約百九億円が、翌年の平成十五年には約二百三億円と約二倍に増えております。これは、認定農業者に対して貸付利率や融資率等の特例措置が講じられていることが要因にあると思われます。今後もそうした傾向は続いて、融資先は、認定農業者等の担い手、大規模な農業法人などの意欲的な農業従事者に絞られていくのではないかと。
 そこで、このように今後大規模な農業法人に対する融資が増加することが考えられますけれども、これについて農林水産省はどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
■須賀田菊仁農林水産省経営局長■
 私ども農政が直面いたします最大の課題、効率的かつ安定的な農業経営、すなわち担い手を育成確保するということでございます。こういう経営が農業構造の相当部分を担うような構造を確立する、これが最大の農政上の課題というふうに考えております。その中でも、やはり安定的な経営体として農業経営の法人化というものも一層推進していく必要があろう、このように思っております。
 先生正におっしゃいましたように、平成十四年から近代化資金の経営改善関係の貸付対象者、法人を含めた担い手農業者に重点化をしてまいりました。それから、農林公庫資金の方、いわゆるスーパーL資金が貸し付けられておりますけれども、その貸付限度額、法人に対しては引き上げる等の措置を講じたところでございます。
 さらに、これ融資ではございませんけれども、平成十四年十月にアグリビジネス投資育成株式会社、系統関係の会社を設立をいたしました。農業法人に対する出資、自己資本の充実を促進する事業を開始したわけでございまして、やはり融資も、こういう措置もめり張りを付けて大規模な法人を含みます担い手のニーズにこたえていく、そういう方向に努めていきたいというふうに考えております。
■松下新平■
 よろしくお願いいたします。
 財政基盤の弱い農林漁業でございます。その活性化のためには今後ともこの金融部門ですね、ここに大きな将来の役割もあると思っております。今後も必要に応じて助言、提言をして注視してまいりたいと思っております。
 私の要望も含めて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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