参議院農林水産委員会−

−「森林組合法の一部改正案」−
平成17年4月5日(火)
■松下新平■
 民主党・新緑風会の松下新平です。小斉平委員に引き続きまして、林業県であります宮崎の選出であります。よろしくお願いいたします。
 冒頭に、福岡県西方沖地震で被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。私も、ちょうど一か月前ですけれども、宮崎におりまして揺れを感じました。そこで、同僚の議員とともにその日に現場に入りまして、何かできることはないかといたしたわけですけれども、玄界島の方には行くことができませんでしたが、天神、中央区の方でも避難されていらっしゃった方のところをずっと十数か所回りました。高齢の方も初めての経験と、福岡では地震がないと言われていたほどですからそうでしょう、大変ショックを受けていらっしゃいました。やはり情報が、通信手段が途絶えたことがその恐怖心を更に助長したというのを感じました。幸いテレビ、ラジオは通じたんですけれども、それがなかったらどうなったかと。現地の声を聞いて、更にやっぱり災害に強い国土づくりにもしっかり取り組まぬといかぬなと思いましたし、またこの災害復興支援にも政府としても力を入れていただきたいということを冒頭にお願いを申し上げます。
 さて、本日は、森林組合法の一部を改正、これについての審査をさせていただきます。基本的な考え方、そして今後の対策について幅広く質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、この森林組合に期待する、その役割に期待する政府の考え方をお聞きしたいんですが、我が国の国土の七割を占める森林は、木材の供給を始めとして、国土の保全、水資源の涵養、二酸化炭素の吸収、保健、レクリエーションなどなど、貨幣に換算しただけでも日本の国家予算にも迫る七十兆円にも値する多面的機能を有していると言われております。さらに、人材と木材は山で育つと言われておりますが、森林を遊びの場、学びの場として成長した人間も言わば森林に育てられた林産物と形容もできます。
 今年はちょうど自然の叡智をテーマに開催されております愛・地球博、この会場でもこの大切さ、いろんなところで掲げられています。人間社会におきましても自然社会におきましても、持続的に営むこと、このような多面的な機能を有する森林を適切に管理することが重要であることは申し上げるまでもございません。
 振り返りますと、森林組合が制度化されましたのは明治四十年の森林法でありますが、戦後に民主化されて以降、森林組合は必須事業である森林管理を行いつつ、林業の発展と採算性の悪化に伴い協同組合的な機能の強化が図られてまいりました。そして、昭和五十三年、地域林業の中核的な担い手としての機能を強化するため、森林組合制度は森林法という資源政策を規定する法律から分離独立され、森林組合法が制定されるに至ったと承知しております。
 以来、二十七年がたちますが、この間の森林・林業を取り巻く状況を見ますと、ただいまお話がありましたとおり、人件費や苗木代が上昇する一方で、杉の山元立木価格、これは切り出す前の価格ですが、昭和五十五年の二万二千円をピークに長期的に下落しております。平成十二年は七千八百円となっております。これはピークの昭和五十五年に比較して三割、さらに、最近は落ち込みが激しく、平成十六年は四千四百円となってしまいました。これは同じくピーク時の二割程度しかございません。これでは切っても赤字、再造林の経費が確保できない状況なのであります。間伐も採算が合わないために必要な手入れがなされず、放置されている森林が増大しており、多面的機能の発揮に支障を来すことが懸念されております。
 林業産出額は、申し上げましたピーク時、昭和五十五年の四割に、国産材供給量は五割に減少し、自給率は実に一八%に落ち込んでおります。民有林の五割が、戦後、私の祖父の代が植えて父の代が育ててきた人工林でございますが、伐採して利用可能となる四十六年生以上の面積が二割を超えております。また、間伐材の利用可能な三十一年生から四十五年生の面積が増大しております。九州、四国を皮切りに、今ようやく利用段階を迎えようとしている時期なのに、国産材の需要が落ち込んでいるわけでございます。
 本改正案の審査の前提として、まずこのような森林・林業の状況を踏まえて、森林の管理や林家の林業所得の増大及び山村活性化において森林組合がこれまで果たしてきた役割、今後、森林組合に期待する役割について大臣の所見をお伺いいたします。そして、今回の改正案がその役割の発揮にどう役立つとお考えなのか、教えていただきたいと思います。
■島村宜伸 農林水産大臣■
 お答え申し上げます。
 森林組合は、森林所有者の協同組織として植林や除間伐の約七割の実施を果たすなど、我が国の森林整備の中心的な役割を果たしておりまして、その活動を助長することは極めて重要な言わば森林に対する施策と考えております。その意味で、今回の法改正は員外利用制限の緩和や准組合員資格の拡充などを通じまして森林組合の機能や組織基盤の強化を図るものであります。
 これによりまして、地域の森林管理や林業の中核的な担い手としての役割が十全に発揮されることを期待しておるところであります。
■松下新平■
 さて、都道府県段階の森林組合連合会、県森連ですね、通称、森林組合の指導を行うとともに、森林組合の規模では困難なスケールメリットを生かした事業展開を行って、森林組合の事業を補完することが役割と承知しております。この点、手前みそですけれども、宮崎の県森連は非常によく活動しております。日ごろから森林資源の充実や路網の整備に気を配り、また全国に先駆けて中国への原木の輸出を始めたりしております。
 森林組合から生産された素材を取りまとめて有利販売を行うことを事業の中心としている県森連ですけれども、木材価格の低迷や流通構造の変化等により県森連自身の経営状況も厳しくなっているようであります。役割を発揮できないところも出てきてまいりました。しかも、近年は森林組合自体の広域化が進展する中で、大阪のように一府一組合が実現し、ほかにも千葉県、埼玉県など、一県一組合を目指す動きもございます。
 そこで、政府は、今後どのような役割を県森連に期待されているのか伺います。
 また、全国段階の森林組合連合会としては全森連、通称、ございます。こちらは系統の全国組織として、販売、購買、指導の各事業のほか、林業者、山村の立場から政策の提言も行っておりますが、外材に対抗するためには全国の森林の状況と素材生産計画をネットワーク化するなどの全国的な取組が今後重要と思われますが、政府としてはこの全森連、どのような役割を期待されているのか、併せてお伺いいたします。
■島村宜伸 農林水産大臣■
 全森連は県森連の指導を、また県森連は個別森林組合の指導を行うなど、森林組合の健全な運営を進める上で極めて重要な役割を担っております。
 しかしながら、近年の木材価格の低迷など厳しい諸状況の中で、その運営は誠に言わば厳しい実情にあり、このため自ら改革プランを作成し、組織、事業改革の推進に取り組んでいるところであります。
 全森連や県森連の果たしているこれらの役割は、森林組合の合併や運営の改革を進めている中で、従前にも増して重要なものと認識しておりまして、農林水産省といたしましてもその支援に積極的に努めてまいる考えであります。
■松下新平■
 私も同じ認識でございます。
 森林組合系統の役割はますます大きくなっていると伺います。しかしながら、その実態を見てまいりますと、常勤理事のいない組合は五百六十三、過半数を占めております。常勤職員のいない組合も一割程度ございます。また、出資金が一千万円に満たない組合は三割、赤字組合も四分の一ございます。組織及び経営の基盤が極めて脆弱な組合が多く、このままでは期待される役割を果たしていくことのできる組合は非常に少ないのではないでしょうか。大臣が示された本改正案の提案理由では、我が国の森林整備の中核的な担い手である森林組合が、将来にわたりその機能を十全に発揮し得るよう、森林組合の機能の充実と組織基盤の強化を図るため提出したということでございますが、果たして本改正案がそのような効果を持ち得るのかなと疑問に思うこともあります。改正とともに様々な施策が必要ではないかと思うわけでありますが、このことについては少しずつお伺いしてまいりたいと思います。
 やはり、森林組合系統自身もこのままではいけないという危機感を持っております。自主的な改革が平成十四年十一月からスタートされており、不退転の決意で臨んでいると伺っております。そこで、自主的な改革プランの進捗状況と政府の評価を伺うとともに、本改正案が改革プランにどのような効果を与えるのか、さらには政府としてどのように自主的な改革の支援を講じていくのか、お伺いいたします。
■前田直登 林野庁長官■
 御指摘のように、森林組合、まずは自ら改革進めていくんだということで、お話ございましたけれども、十四年に改革プラン策定されたわけであります。そして、十五年から十七年にかけてその推進を図っていくということで、例えば合併を進めていく、あるいは経営の改善を図っていく、あるいは事業の中でも販売事業等につきましてはその収支、そういったものを踏まえながら再編を図っていくというようなことで計画しているわけでございまして、そういう意味では着実に一歩一歩そのものは進められてきているというように認識いたしております。
 私どもといたしましても、そういった森林組合自らの改革努力、こういったものにつきましては積極的に支援してまいりたいということで、各種補助事業等も通じまして、合併の推進、こういったものを始めといたしまして、指導あるいは助成、そういったことを進めてきているところでございます。
■松下新平■
 続きまして、森林組合の合併について質疑させていただきます。
 脆弱な森林組合の組織、経営基盤を強化するために合併が進められてまいりました。昭和三十八年からは森林組合合併助成法に基づいて、平成十三年度末に助成法の期限が切れた後も企業組織再編税制において同様の合併税制支援措置が講じられております。組合系統は全国で六百に統合することを目標に掲げているようでございますが、平成十五年度末では九百七十とその目標に到達しておりません。まず、その原因は何だとお考えでしょうか。
■前田直登 林野庁長官■
 端的に言いますと、森林組合の合併がなかなか迅速に進展しないと、この理由といたしましては、やはり一つには、現在市町村の合併等々が進められているわけでありますけれども、そういった中で新たな市町村の枠組みが定まらないと、そういった中で組合合併を先行させるということがなかなか難しい面があると、そういうふうに考えている組合が多いというような状況があろうかと思います。また、やはり一部には森林組合同士が合併する、そういった場合のメリット、こういったものにつきまして十分な認識をお持ちでないと、そういった面もあるのではないかと思いますし、また、組合によりましては非常に経営の安定しているところあるいは経営が厳しいところ、そういった財務格差、こういったものが存在しているという、そういった様々な要因があるものというふうに考えております。
 ただ、しかしながら、森林組合の合併につきましては、組織基盤等あるいは経営基盤の強化、極めて重要であると考えておりまして、今後も積極的な合併の推進に努めていくということが必要というように考えている次第でございます。
 今回の法改正におきましても、合併手続の簡素化、こういったことも掲げているわけでございます。こういった措置も通じながら合併の一層の推進に努めてまいりたい、資してまいりたい、かように考えている次第でございます。
■松下新平■
 さて、本改正案では、総代会で解散又は合併の議決をしたときの正組合員の投票を不要として、正組合員への通知で足りることとしております。政府はこれを組織基盤強化のための措置の一つとしているようでございますが、この手続の簡素化が合併を促進する上でどの程度の効果があるとお考えでしょうか。
■前田直登 林野庁長官■
 従前ですと、例えば総代会で合併を決議すると、しかしながら実際にそれを進めるためには再度全組合員に投票をしていただいてその上で決定しなきゃいけないということでありました。そういたしますと、組合員の多い組合におきましては、例えば一回につき三百万円とか相当な金額も掛かるというような実情もございます。そういった意味では、今回のこの措置によりまして、労力的な問題のみならず、財政的な面からも相当改善されるのではないかと、そういった形の中で合併が進みやすくなると、そういった面があるのではないかというように考えている次第でございます。
■松下新平■
 大いに期待したいと思います。
 合併がなされた後も合併効果を発揮するためには役職員の意識改革を始め事業の見直しなど様々な工夫が求められます。組合系統の調査によりますと、合併後の組合とそうでない組合との間で赤字組合の割合がほとんど変わらないという結果が出ております。合併後の組織や事業の合理化がなされなかったことが主な理由であり、補助金を利用して建てた施設を統廃合できないため稼働率の悪いままになっていることも原因の一つであると指摘されております。また、組合と組合員との距離が生じるという声もあることから、地区懇談会の開催など組合側からの組合員への積極的な組合事業への理解を働き掛けていくことが必要であると思います。合併後の組合の合理化などの取組や運営に対する支援が必要ではないでしょうか。
 政府は中核組合を中心に支援していくようでありますが、その考え方を伺うとともに、合併を含めた自主的な改革プラン全体に対する政府の支援策をお伺いいたします。
■前田直登 林野庁長官■
 まず、合併によりますメリット等でありますけれども、確かに、赤字組合同士あるいは赤字組合とそうじゃない組合と合併してもなかなかそこのところが効果的に発揮がされないんではないかという懸念も確かに残るわけでありますけれども、やはり合併することによりまして、例えばその多くそれぞれの組合が抱えていた事業、そういったものをまとめて一括してできるようになる、そのことによって安定的な事業量の確保が進む。あるいは、そのそれぞれの単協といいますかそれぞれの個別組合、それぞれでやっていた製材なり林産事業、そういったことが一本化することによって非常に合理的なそういった経営なりそういったものにもつながっていく。さらに、かてて加えて、その会計部門ですとか総務部門、そういったものにつきまして間接的な経費も削減できるといいますか合理化も可能になるということで、相当メリットがあるんではなかろうかというふうに思います。
 もちろん、そういった形の中であっても、更に経営の安定を図っていくという面から、更なる組織基盤の強化あるいは事業改革、こういったものの推進に取り組んでいくことが必要と考えておりまして、私どももそういった面につきまして、全森連を通じたいろんな指導の関係、そういったものに支援を行うと同時に、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、税制特例措置、こういったものも通じて合併の推進に側面から積極的に支援していきたい、かように考えておる次第でございます。
■松下新平■
 続きまして、この改正案にございます行政庁の検査についてお伺いいたします。
 適切な事業運営を確保するため、本改正案では、理事に、組合全体の損益だけではなく、省令で定める事業の区分ごとの損益を明らかにした書類を総会に提出することを義務付けることとするなど、組合員への情報開示の推進が盛り込まれております。組合員にとって分かりやすい説明がなされるような省令を定めていただきたいと思っております。
 また、本改正案では、国や都道府県による組合の業務又は会計の状況に関する検査の対象に組合の子会社を追加することとされております。子会社の検査は組合運営の透明性を確保するために必要なことと考えておりますが、恣意的な検査が行われないように、また逆になれ合いとならないように適切な検査をしていただきたいと思います。適切な検査という意味では、第三者機関による検査も必要だと思います。例えば、株式会社では公認会計士、公認会計士による外部監査が実施されておりますが、森林組合において監査機能の強化をどのように進められるおつもりなのでしょうか。
 そこで、組合員への情報開示の在り方、組合の子会社の実態と改正の趣旨を伺うとともに、検査に当たっての政府の考え方をお伺いいたします。
■前田直登 林野庁長官■
 まず、損益の明細の開示の関係でございますけれども、従来ですと、いわゆるその事業部門別に経費を張り付け、さらに間接経費がどこに行くか、それにつきましてはそれぞれの組合の自由裁量で行われると。したがいまして、それぞれの事業のその経営の収支、そういったものは明確に分からないという形でありましたので、そこにつきましてはきちっとルールを作って、それの事業部門ごとの損益、そういったものをはっきり分かるようにということで今般改正を行っておるところでございます。
 また、子会社との関係でありますけれども、やはり森林組合とは独立したものとはいいながらも密接なる関係を有するわけでありまして、その子会社の方が大きな赤字を抱える、そのことがその森林組合本体の方の経営の悪化を招くというようなことも懸念されるわけでございまして、そういった場合に、必要の限度においてそういったものにつきましては行政庁の方としても検査できるようにということで考えているものでございます。
 また、最後にございました監査の問題でございます。
 確かに公認会計士による外部監査等々もあるわけでありますが、実際にはこういったものにつきましては非常に大きな経費が掛かる。また、信用事業とかそういった大きな事業をやっているところはいざ知らず、森林組合のように信用事業も行っておりませんし、事業規模も非常に小さい、そういったところに大きなる経済的な負担を掛けるということにつきましては厳しいんではないかというような考えを持っております。
 そういう意味で、森林組合におきます監査機能の強化につきましては、言わば現在の監査役によります監査、こういったものの充実強化を図っていくということで、研修も含めましてそういった監査の推進、こういったものに努めていきたいというように考えている次第でございます。
■松下新平■
 はい、分かりました。
 次に参ります。
 法律上は、正当な理由がないのに一年以上事業を停止した組合に対して行政庁は解散命令を出すことができます。必須事業である森林管理もしていないような不活発な組合が存在することで、その地区内の森林整備がなかなか進まないという実態があるようです。
 このような不活発な組合に対して、解散や合併を促すなど適切な行政指導を行っていくべきと考えておりますが、不活発な組合の実態と今後の対処方針についてお伺いいたします。
■加治屋義人 農林水産政務官■
 地域の森林管理を適切に行っていくためには森林組合の活動の体制づくりというのが本当に必要だと、私も肌で感じさせていただいております。
 しかしながら、この森林組合のうちの一部には常勤役職員が配置されておらないとか、大変厳しい活動をしている組合がございます。それはやはり、現状の森林・林業のこの低迷の中ではどうしても単独で自立的経営を続けることが難しいと、そう思っておりまして、この一定の事業利益の確保が可能な中核組合との合併を推進すべきであると、そういうふうに思っておりまして、また森林組合自身でも、先ほど大臣が申し上げました森林組合改革プラン、これは平成十五年から十七年までのこの三か年でございますけれども、合併に取り組んでいただいているところでございます。
 国としても、このような合併の取組に対して都道府県を通じて推進に努めてまいりたいと思っておりますが、ただ、森林組合への国の支援はもちろんでありますけれども、森林組合自身の自助努力、このことも大切だよねと、そういうふうに考えております。
■松下新平■
 両方の立場におられる説得力のあるお言葉、ありがとうございました。
 次に参ります。
 森林の一体的整備のための員外利用規制の緩和、いわゆる組合員以外の方の規制緩和についてでございます。施業の受託の推進についてお伺いいたします。
 山元に収益をもたらすために、団地化等による施業の低コスト化の実現、そして一定価格以上での林産物の売却が必要でございます。組合員と非組合員の森林が複雑に入り込んでいる中で施業の団地化を図るために、一体的に整備する場合の施業の受託等について員外利用制限を緩和する措置が昭和五十三年から導入されております。本改正案では、この緩和の対象事業に施業の受託等と併せ行う施業計画の作成事業と加工販売事業を追加することとなっております。
 そこで、非組合員からの施業受託の実態とこれまで一体的整備が進まなかった理由をお伺いいたします。また、受託の推進において本改正案がどのような効果を有するのか、教えてください。
■前田直登 林野庁長官■
 御指摘のように、我が国の民有林、大変小規模でかつ分散的であります。そういったことから、効率的な施業を進めていくというためには、何といいましても、こういった複数の森林所有者の方の森林を取りまとめまして、一体的、計画的に森林施業を行うと、そういった施業の団地化を進めていくということが大変重要であるというように考えている次第であります。
 このために、一体的な整備が必要な森林におきましては、今お話ございましたように、従前より森林施業の受託につきまして組合員であるか否かを問わず認められてきたところでございますが、地区内に組合員以外の者の所有森林が多い森林組合におきましては、森林施業計画の作成が員外利用制限により拡大できないと、その結果、施業の団地化が進まないというようなことで、施業コストの縮減あるいはその安定的な材の確保ができないといったような事例も出ているわけでございます。
 このために、今回の改正によりまして、一体的に整備することが望ましい森林について、員外利用の特例の範囲を施業計画の作成や木材の販売にまで拡大するということにいたしているわけでございまして、これによりまして、森林組合が組合員以外の森林所有者についても一体的に施業の実施を働き掛けて、施業の団地化を図ることによりまして、施業コストの低減、さらに生産される木材の安定的な量の確保、こういったことが可能となり、収益性の向上が期待できるというように考えている次第でございます。
■松下新平■
 続きまして、この組合の加入率ですね。森林所有者の割合は四九%と半数にも満たしておりません。今後は一層、組合は非組合員に対しても施業の必要性を訴えて委託を働き掛ける機会が増えるものと考えられます。
 一方で、施業の受託に関する手続について透明性が確保されていないとの指摘も平成十三年の政府の検討会でなされております。森林所有者に対して現況写真を見せながら具体的に施業の必要性を説明し、施業の方針や経費、木材販売額などを提示し、信頼を得ていくことが必要でありましょう。
 そこで、委託の手続に関する指摘を受けて、政府はどのような対処を講じているのか、また、法改正と併せて受託を促進する施策をどのように講じていく方針かを伺います。
■前田直登 林野庁長官■
 森林所有者に対します透明性の確保でございますが、これにつきましては、当然のことながら森林組合と組合員の信頼性を向上させると、そして組合の安定した事業基盤、こういったものを築く上で不可欠の措置であると、取組であるというように考えております。
 このために、総会等の場ですとかあるいはその組合広報等を活用しまして、施業単価を組合員に明示する、さらに、施業実施の際には基本的な費用の見積り、こういったものを提示する、そういったことの指導をしているところでございまして、一部にはそういった形で先鋭的に取り組んでいると、そういったような組合も見られるところでございます。
 今後とも、施業の実施の働き掛け、これを積極的に推進するということで強力に指導しますとともに、様々な補助金、こういったものを支援を通じましてそのバックアップを図っていきたいというように考えている次第でございます。
■松下新平■
 売場の確保、所有者の委託の働き掛けなどは時間も労力も掛かる仕事でございます。マーケティングや営業などの高い能力も必要でございます。
 そこで、このような業務を担える人材を育成していくことが必要であります。組合の人材育成の取組について政府はどのような支援を講じていく方針かをお伺いいたします。
■加治屋義人 農林水産政務官■
 山を元気にしていくためには、生産された木材を適切に売っていく必要があると、いつもこう思っておりますが、先ほどから話がありますように、現在、木材の販売状況は非常に厳しくて、従来以上にしっかりとした取組を行っていく必要があるとまず考えております。
 森林組合は、国産材の供給においても我が国の重要な一角を担っているところでございます。また、国産材の安定供給を図るためにも、一定のロットを確保するとともに、製材業者や中小工務店など、いわゆる川下の木材の需要者の動向を踏まえまして、それに対応した的確な販売を行っていくことが重要だと考えております。
 このためにも、今回の改正案で木材販売の員外利用制度を緩和するとともに、製材業者や中小工務店などに准組合員資格を付与することといたしておりまして、川上と川下の連携がより進むものと思っております。
 また、このような木材の販売に当たりましては、人材の育成や経営能力の向上を図ることが重要と考えておりまして、このための研修あるいは経営指導などの取組に強化をしてまいりたいと考えております。
■松下新平■
 次に、平成十四年度からスタートしております森林整備地域活動支援交付金についてお伺いいたします。
 この交付金があることで、施業の団地化が進み、喫緊の課題である所有地の境界の確認も取れることなどから、現場では大変好評でございます。この制度は平成十八年度までのものでございますが、あと五年、十年存続すれば、山の手入れが随分進むのではないかとの見方もされております。
 これまでの実績から見た交付金の効果に対する評価と存続させる意向の有無についてお伺いいたします。
■常田享詳 農林水産副大臣■
 森林整備地域活動支援交付金は、森林の現況調査など適切な森林施策に不可欠な地域活動の支援措置として、今、委員おっしゃったとおり、平成十四年度から平成十八年度までの五か年間実施することといたしております。
 本交付金については、地域活動を促進するという直接的な効果に加えまして、森林所有者が森林整備に意欲的に取り組む契機となるなど、森林整備の推進に役立っているものと思っております。
 今後とも、本交付金が森林所有者に積極的に活用され、森林整備の推進が図られるよう、制度の一層の普及に努めてまいりたいと考えております。
 なお、平成十九年度以降の対応につきましては、それまでの事業の実施状況などを踏まえ、改めて検討することといたしておりますが、ちなみに平成十五年の実施状況を見ますと、実施市町村数は千九百八市町村、いわゆる交付対象市町村の八八%を占めておりますし、全交付額百五十三億円、交付想定額の七〇%を占めております。平成十六年の実施見込みでも七五%ということで、非常に高い水準をしております。できるだけ早い時期に一〇〇%に持っていきたいと、そしてその実績を踏まえて次のステップに入りたいと思っております。
 以上です。
■松下新平■
 是非ともよろしくお願いいたします。
 次に、緑の雇用についてお伺いいたします。
 政府は、施業の受託を増加させる方向を目指されておりますが、実際に作業を行う組合の作業班員の減少と高齢化が深刻な問題となっております。平成十四年度の作業班員数は二万七千人で、昭和五十五年度の四二%、うち六十歳以上が四四%となっております。このままでは今後の森林管理の担い手が不足するのではないか、山村の活力が損なわれないか懸念されております。
 厚生労働省の緊急雇用対策によって、森林作業員として短期雇用された者が本格的な就業を目指して、技術を習得するために森林組合等で一年間の研修を受けることを応援する緑の雇用担い手育成対策が実施されております。担い手の確保や山村の活性化に資する事業であることから、存続、拡充が望まれております。
 そこで、緑の雇用対策の効果に対する政府の評価を伺います。また、平成十六年度で緊急雇用対策が終了いたしましたが、緑の雇用については、対象者や年数の拡充などをした上で十八年度以降も実施されるべきだと思いますが、政府の方針をお伺いいたします。
■島村宜伸 農林水産大臣■
 お答えいたします。
 林業就業者の減少と高齢化が進む中で、今後の森林整備を着実に推進していくためには、担い手の確保や育成を図っていくことが重要であります。
 このため、厚生労働省の実施した緊急雇用対策により森林作業に従事した者を対象に、緑の雇用担い手育成対策事業を平成十四年度補正予算から実施しておりまして、昨年四月には、研修修了者の九割近くの約二千人が本格就業しているところであります。
 本事業の実施により、都市部から若い家族が定住し、森林作業に取り組んでいる事例も見られるわけでありまして、山村地域の活性化にも寄与しているところでありまして、これらを更に推進したいと、こう思っているところです。
 なお、本事業は平成十七年度予算においても引き続き前年度と同額で実施することとしておりまして、本事業を着実に実施して、これを継続したいと、こう考えております。
 なお、平成十八年度以降につきましてですが、これまでの実施状況などを踏まえまして、今後の担い手対策について検討してまいりたいと、こう考えております。
■松下新平■
 御検討よろしくお願いいたします。
 続きまして、この改正案の目玉とも言われる森林環境教育についてお伺いいたします。
 次の時代の担い手を育てる上でも、また森林の価値を理解し、整備の費用負担についても理解ある森林の応援隊を育てるという意味においても、子供たちはもとより、大人を含めた国民に対する森林環境教育は極めて大事だと考えております。実際に森林に足を踏み入れ、森林が体にもメンタルにも良いものであることを実感していただくことこそがそのような理解につながり、やがて地域の森林から生産された木材を使おう、国産材を使おうという行動へとつながっていくことが期待されております。
 宮崎の森林組合系統でも、県民の方々に森林の果たす役割や県産材を使うことが施業の循環を生み、健全な森林の維持につながるということを身を持って体験していくために様々な催物をしております。例えば、森林まつりや巨樹・古木ツアー、木工教室などを開催してございます。
 本改正案では、森林組合の事業として新たに森林環境教育事業が追加されようとしておりますけれども、事業に改めて位置付けることの趣旨及び効果、想定される事業内容をお伺いいたします。
■前田直登 林野庁長官■
 今お話もございましたけれども、近年、国民の環境意識の向上、こういったものを背景にいたしまして、ボランティア団体ですとか学校によります林業体験活動、こういったことが増加いたしております。そして、森林の多面的な機能の一つであります教育機能、こういったものに対します国民のニーズも高まっているというような状況にあるのではないかと考えております。これらのニーズに対応いたしまして、今回の改正によりまして、森林組合の事業として、組合員の森林の教育機能を増進させる事業、これを位置付けることといたしている次第であります。
 この森林組合が実施いたします森林環境教育の内容でございますけれども、森林組合の組合員の森林を利用した森林フィールド、林業体験学習施設の整備あるいは森林組合職員のインストラクター派遣、教材作成による森林・林業体験学習の支援、こういったものが考えられるところでございまして、これらによりまして、森林組合における何がしかの収入源の多角化あるいは森林・林業に対します国民の理解、こういったものの促進、これを期待しているところでございます。
■松下新平■
 その役割の重要性は共通認識でございます。
 さらに、森林環境教育は小中学校の総合的な学習の時間においても盛んでございます。植林や間伐、炭焼きなどの体験林業、野生動植物の観察などを子供たちに体験してもらっているようでございます。都市部の生徒にとっても、自然と親しむ経験は様々な育ちへの効果があると考えられます。人間形成への影響の大きさという点からも、林野庁と文部科学省とがしっかり連携して推進してもらいたいと思います。
   〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕
 そこで、今後の森林環境教育の推進の在り方について、文部大臣も務められた島村大臣にその考えをお聞かせいただきたいと思います。
■島村宜伸 農林水産大臣■
 森林など豊かな自然資源や、あるいは伝統文化に恵まれた山村地域において、森林・林業体験活動の機会を広く提供していくことは、子供たちの自ら学び自ら生きる力をはぐくむ上で極めて有効であります。
 これまでも農林水産省は、文部科学省との間に協議機関を設置しまして、農林水産業の体験学習などに関する基本方針の策定とその推進に取り組んできたところであります。
 今後とも、森林環境教育の推進に向けて、文部科学省と一層緊密な連携を持ちまして、これらの実践の推進に努めてまいりたいと、こう考えます。
■松下新平■
 是非よろしくお願いいたします。
 続きまして、地域材の需要拡大についてお伺いいたします。
 度々お話が出ておりますけれども、我が林業県の宮崎でも、木を切っちゃいかぬと、環境のために木を残さぬといかぬという声もまだある状況もございます。先ほどから出ておりますように、そういうことがまた材価を下げることになるし、そして、それによって間伐に手が入らなかったりという悪循環でありますので、この理解を更に浸透させるようにしてまいりたいと思っております。
 地元に帰りますと、やはりこの地域材の活用、いろんなところで、ここは使えないかとか、これはどうだろうかという声をたくさんお伺いしております。都道府県段階では総合行政ですので、直接いろんなところに働き掛けて、今ではいろんなところに公共的なものを含めて地域材が使われておりますけれども、まだまだやっぱり国の方ではその声が届かないところも正直あるのではないかなと思います。そういう観点からお伺いいたします。
 森林組合を始めとする林産業全体の基盤強化するためにも、地域材の流通量、需要を増やすことが重要であると考えます。住宅を始めとする建築分野への地域材の活用の方策はどのようなものがあるのでしょうか、お伺いいたします。
■前田直登 林野庁長官■
 御案内のように、地域材の大宗は建築用途に向けられております。そういったことで、地域材の利用を進める上で、住宅を始めといたします建築分野への利用の推進、とりわけ重要というように考えている次第でございます。
 このために、森林所有者から住宅生産者まで関係者が一体となった家造りなど、住宅における地域材利用の推進に努めているところでございます。また、地域材を用いてコミュニティーセンターなどの公共施設、これのモデル的な整備を進めるといったようなことで、住宅以外の建築物につきましても木材の積極的な利用を働き掛けているところでございます。
 さらに、農林水産省といたしましても、隗より始めよじゃないですけれども、自ら率先して木材の利用拡大に取り組むということで、十五年八月、農林水産省の木材利用拡大行動計画、策定いたしまして、庁舎の木造化ですとか内装の木質化、そういった推進を図っているところでございます。
 今後とも、関係省庁との一層の連携を図りながら、住宅を始めといたします建築物への地域材の利用促進、これに取り組んでまいりたいというように考えている次第でございます。
■松下新平■
 引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、地域材の利用を拡大するためには、その品質、お話がありましたように整備、性能が確保されたものを安定的に供給することが必要であると考えております。安定供給に向けた取組はどのようになっているのでしょうか。
■前田直登 林野庁長官■
 近年、お話ございましたけれども、住宅に使用されます木材につきましては、品質、性能の安定した乾燥材あるいは集成材、これが求められております。
 このために、農林水産省といたしましても、川上から川下、連携いたしてコスト削減を図りながら、品質、性能の確かな製品、これを安定的に供給する仕組みができるよう支援しているところでございます。また、これに加えまして、乾燥施設ですとか集成材の加工施設など、こういったものの整備も進めているところでございます。
 今後とも、このような品質、性能を確保した木材の安定的な供給を図る取組を通じまして、森林所有者の木材の販売収入あるいは収益性が向上するよう努めてまいりたいというように考えている次第でございます。
■松下新平■
 この点の最後に、品質、性能を確保した地域材を安定供給する取組と併せて、その売り先も拡大することが重要でございます。
 地域材の需要を拡大することは、一方で消費者の需要動向を把握する、ニーズを吸収することが必要であると考えておりますが、消費者対策にはどのように取り組んでおられるのか、お伺いいたします。
■島村宜伸 農林水産大臣■
 地域材の需要を拡大するためには、木の良さやあるいは木材利用の意義について消費者へのやっぱり普及啓発することが重要であるとまず基本的に考えております。
 このため、従来から地球温暖化防止における木材利用の意義などをテーマとしたシンポジウムの実施や、あるいは地域材を利用した住宅フェアの開催などを推進しているところでありますが、その一方において、本年二月には、私以下農林水産省幹部と大手住宅供給業者との懇談会を開催しまして住宅への地域材利用について意見交換を行うなど、そちらの側の言わば関心を喚起するため、あるいは協力を得るための積極的な取組を進めているところであります。さらに、平成十七年度からは、地域材の利用に関するキャンペーンやセミナーの開催など、直接消費者に言わば訴える対策を実施することとしております。
 今後とも、あらゆる機会を通じて、木材、とりわけ地域材の利用について消費者の理解を深めるように努めてまいりたいと、こう考えております。
■松下新平■
 もう一点、ちょっと関連して、地元で聞いた話なんですけれども、スマトラ沖地震にこの地域材が有効に活用できないかということをお伺いしております。
 中国への輸出は、先ほど申し上げましたように、進んでいるんですけれども、海外への輸出には様々なリスクも伴います。木材関係の輸出が増加していることに対する政府の評価と輸出促進策についてお伺いしたいんですけれども、ちょっと通告しておりませんけれども、申し上げましたように、スマトラ沖地震、これはいろんな団体からも有効に使えないかという声が上がっていると聞いておりますけれども、その状況とその対応についてお伺いいたします。
■前田直登 林野庁長官■
 前段の方で、今、先生海外への木材輸出の話ございましたですけれども、こちらの方も先生の方がよく御存じかもしれませんけれども、近年は逆に、今まで我が国輸入国だったわけでありますが、一部杉の間伐材を中心に中国へ逆に輸出するというようなことで、例えば宮崎県などにおきましても数千立方のオーダーで輸出を開始しているというような状況にございます。残念ながら、中国等の場合、まだまだ杉に対する認識が不足しているというようなこともございまして、そういったもののPR、普及、こういったものに私どもも支援して努めているところでございます。今後とも、そういったものにつきまして、積極的な拡大に努めていきたいというように考えている次第でございます。
 また、今お話ございましたスマトラの災害関係での木材支援でございますけれども、一説には、例えばWWF、世界自然保護基金でございますが、そういったところの報告によりますと、復旧・復興に約八百万立方の木材が必要ではないかといったような話もございます。インドネシアへの木材支援につきましては、同国の方から我が国政府に対しまして木材の提供につきまして要請がある、そしてその要請が妥当であるというように政府として判断されるならば、私ども林野庁といたしましては、国産材の利用、これが我が国の森林整備の推進のみならず、インドネシアの熱帯雨林の適切な保全にも資するということで、積極的に協力してまいりたいというように考えている次第でございます。
 ただ、現時点におきましては、インドネシア政府から我が国に対しまして木材の提供につきましての正式な要請は寄せられていないというように承知しているところでございまして、今後の動静を注意しつつ適切に対処してまいりたいというように考えている次第でございます。
■松下新平■
 引き続きよろしくお願いいたします。
 時間も迫ってまいりました。地球温暖化防止森林吸収源対策十か年計画についてもお伺いする予定にしておりましたけれども、先ほど小斉平委員もお触れになりましたこともあります。大切な問題でありますが、次回に譲りたいと思います。
 私の質問の大きな最後の一問をさせていただきたいと思います。それは森林所有者への直接支払制度導入の必要性についてでございます。
 現在は造林、間伐などの各作業に助成が支払われる制度となっております。しかしながら、森林の公益的機能の発揮とコストの平準化、生産性の向上が期待される長伐期施業や育成複層林施業に移行することが目指されている中であって、余り手を掛けなくてよい高齢の森林が増加し、造林面積が小規模となることが予測されることから、現在の補助金制度では森林所有者や施業受託者に対する支援にふさわしくないのではないかと考えております。
 宮崎県では十三年連続で杉素材の生産量日本一を誇っております。これは、森林資源の充実はもとより、林内路網の整備、高性能林業機械の普及、中規模以上の加工工場の立地、さらには消費者ニーズに対応した乾燥材生産の増加など、官民一体となって長い間取り組まれてきた結果でもあります。しかしながら、やはり価格の低迷等によって林業経営は厳しく、特に間伐は採算が合わない場合も多いのです。このように、有数の林業県であっても苦しいという状況が我が国の産地の実態であります。もちろん、国産材の需要拡大策を図って材価を向上させることで事態が幾らか好転するかもしれませんが、今から本格的な取組を始める地域において取組の効果が出るまでに何年掛かるか分かりません。
 そこで、私は、冒頭に申し上げました七十兆円、日本の国家予算にも匹敵するこの多面的機能という外部効果を生み出している森林の造り手たちに一定の施業条件を義務付けた上で直接支払をするべきではないかと、こう思うわけであります。日本林業経営者協会なども直接支払の導入を提言しておられます。
 政府は直接支払の導入についてどのような見解をお持ちなのでしょうか。是非導入に向けて検討をしていただきたいと思うのですけれども、大臣の御答弁をお願いいたします。
■島村宜伸 農林水産大臣■
 一ヘクタール以上の森林を保有する森林所有者のうち、林業によって家計の六割以上を賄う森林所有者は全体の一%未満にすぎません。収入を林業所得に依存している者はごく一部という状況にあるわけであります。
 また、林業は生育期間が非常に長期にわたりますので、生産活動に伴う所得も必ずしも毎年発生するとは限らないことから、直接支払制度の言わば手法がなじみにくいという面も実は持っているわけであります。
 このように、林業は他産業とはちょっと体質が異なるということから、この特性に応じて、直接所得支払の導入についてはやはり慎重に検討する必要がありますので、いろんな角度から今その検討をしているところでございます。
■松下新平■
 本日は、この森林組合法改正に関して、基本的な考え方から今後の取組までお伺いしてまいりました。地球温暖化防止については残してしまいましたけれども、また次回に譲りたいと思います。どうぞ、お取組、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
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