参議院予算委員会−

−平成17年度予算関連3案に対する反対討論−
平成17年3月23日(水)
■松下新平■
 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成17年度予算3案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。

 情報が飛び交い、過去に経験したことがない事態に遭遇することがしばしばある現在、私たちはつい目先の現象面だけに心を奪われ、判断を誤りがちです。しかし、混迷を深める現代であるからこそ、一見、遠回りに思えるものの、「原点に帰る」ということが、最も大切なことであると、私は改めて強く感じています。

 「山登り」ではガスが発生して、急激な天候変化により登頂ルートが分からなった場合は、来た道を戻る、つまり「原点に帰る」ことが鉄則だと言われています。

 政治であれ、企業経営であれ、私たちの人生であれ、迷走や遭難を回避するためには、その岐路に立ったときに、「何のためなのか」「何をめざしているのか」と「原点」に立ち戻り、考えていくことが大切です。

 そして、その結果、必要ならば、それまでの考えを修正すことこそが、真の勇気ある判断だと考えます。

 4年前は、支持率80%という国民の圧倒的な支持と大きな期待を背景に、華々しくデビューした小泉内閣でした。

 しかし、この四年間に小泉内閣が行ってきたことは、国民負担ばかりを増大させてきたのみならず、政治に対する信頼を失墜させるなど、国民の期待を蹂躙し、真の財政改革、社会保障改革にはほど遠いものでありました。
 
 いまの小泉内閣の衰退を象徴する出来事の一つがこの予算委員会でもたびたび審議されてきました米国産牛肉の輸入再開問題です。
 今では国民の多くが、頼みの小泉外交の姿勢に対しても不信の声を挙げております。
 イラクへの対応などに見られるように、小泉総理は米国との親しい関係を特に強調されていますが、こうした小泉内閣の対米追従姿勢に国民の不安は増すばかりです。

 確かに日米関係は大切ですが、だからといって日本の将来の子どもたちの健康をないがしろにすることは、断じて許されるものではありません。
 昨今、頻繁になされている米国からの有形・無形の圧力に呼応するかのように、小泉内閣の閣僚も同調するような発言をしておりますが、これも許されるものではありません。

 最近の先の見えない景気の低迷と将来不安の増大は、まさにこうした小泉内閣の無為無策、物事を刷(す)りかえる無責任な政治姿勢に対する国民の深い失望を端的に物語っていると断ぜざるを得ません。


(写真の上でクリックすると拡大表示します)

 以下、反対の主な理由を三つ申し述べます。
 反対の第一の理由は、定率減税の縮減を盛り込んでいることであります。
 定率減税は、所得税の最高税率の引下げや法人税率の引下げと合わせて、期限の定めのない恒久的減税として実施されてきたものであります。見直しを行うというのであれば、個人のみならず、定率減税の根拠法にもある通り、法人税も含めた抜本的な見直しを行うべきでありますが、政府は、その在り方についての方向性を示すことすらせず、個人所得税の定率減税の縮小だけを先行させようとしております。
 その上でのこの定率減税縮減による1.7兆円の国民負担の増加は、消費を冷え込ませて景気の悪化を招き、我が国経済を再び不況に陥れることは火を見るよりも明らかであります。

 反対の第二の理由は、財政健全化の取組が不十分であることであります。
 平成17年度の国債発行額は新規・借り換えを合わせて144兆857億円であり、国と地方の長期債務残高は同年度末に774兆円と、GDPの1.5倍にも達すると見込まれております。小泉総理は、17年度の新規国債発行額を前年度よりも2兆2000億円減らしたと豪語されていますが、その要因は民間企業の努力を反映した増収によるものであり、決して政府の歳出削減努力によるものではありません。

 反対の第三の理由は、地方への税源移譲について小手先の対応しか行われていないことであります。
 地方向け補助金の見直し、地方への税源移譲は、平成15年度予算での芽出し以来、3年を経過しました。しかし、本予算においても国から地方への税源移譲は遅々として進まず、所得譲与税6910億円や税源移譲予定特例交付金4250億円などの暫定的措置が取られているに過ぎません。
 以上、平成17年度予算3案に反対する主な理由を申し述べました。本予算は、改革を標榜しながらも、その実態は、国民に痛みのみを強いる政策不在、国民不在の予算に他なりません。我が国を導く将来ビジョンもなく、名ばかりの改革を繕うための辻褄合わせの予算では、我が国の財政経済は破綻への道を突き進むほかなく、将来の明るい展望を持つことは全くできないと言わざるを得ません。
 
 原点に帰ることを忘れた、道を見失って遭難した小泉内閣に、大切な日本の将来を任すわけにはいきません。このことを強く申し上げて反対の討論を終わります。