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松下新平の提言●9月定例県議会一般質問より
綾の照葉樹林の保護再生と送電線の鉄塔建設について |
私は、綾町の照葉樹林は、綾町だけの問題ではなく、広く県・国が、後世に残す貴重な財産としてサポートすべきと訴え、活動してまいりました。残念ながら県当局は、建設容認をする地元の意向を尊重するの一点張りでした。私は綾の森を最大限に尊重することは、時代の要請であり、また責任世代の政治・行政に関わる者として、未来に向けての義務だとも考えています。
私の考えには、大きく3つ背景があります。世界自然遺産の候補地として高く評価されたこと、国のエネルギー政策における揚水発電への意義が、景気の低迷、産業の空洞化、電力自由化などによって、著しく変化してきたこと。その上で工事を進めることは無駄な公共事業と同じです。そして何より人々の価値観が、経済的豊かさから、心の安らぎを第一に考えるようになったことです。
ようやく、県議会も動き始めました。10月20日には、この問題のために県議会厚生常任委員会が開催され、綾の照葉樹林の保護とエネルギー政策について、専門家やそれぞれこの問題に携わっておられる方々を参考人としてお招きし、活発な意見交換がなされました。
ある委員からは「どう考えても、綾町にはメリットがないのにどうして容認したのか」また、ある委員からは、「著書『結いの心』によると郷田前町長が、地元の反対を押し切って、先見性をもって守ってきた綾の森が、今の時代になって高く評価されているのに、綾の価値がなくなるのではないか」など、鉄塔建設容認に疑問視する意見が多くありました。
さまざまな経緯があったことは承知していますが、政治に携わるものとして、到底、看過できる問題ではありません。将来に、禍根を残してはなりませんし、こんな時のためにこそ、政治家が存在するのですから。
確かに、従来こういった公共的な事業については、一度計画を決めるとなかなか変更ができない意識が強くありました。違う方向への判断が組織としてやりづらい、要するに右肩上がりの時代の中で、とにかく進める方向にのみ全部仕組みができあがってしまっているので、途中で冷静に止めるという仕組みが全然できあがっていないということです。
「今であればやらない事業を、公共事業だからといって止めないのはおかしい」と政治判断により、公共事業を中止した事例があります。
「奥産道」建設中止の決断をした岩手県、増田知事です。こういうことでした。
奥産道は、岩手山麓の2つの温泉地を結ぶ全長約16kmの県道で、65年の着工以来、約46億円の事業(うち約29億円が国の補助金)を投入。中央の3kmを残して両側13kmが完成し、環境保全のために中央部分のトンネル化を検討してきたそうです。ところが、トンネル化が環境に与える影響を調査していた請負業者が、国立公園内の原生林を破壊してしまい、96年7月にこの事実が発覚すると、環境問題が大きくクローズアップされて工事は凍結となりました。
県土木部はトンネル区間を延長することで環境保全を図ろうとし、トンネル区間の長さ別に3つの代替案を知事に示しました。しかし増田知事は、1)トンネル区間の延長は75億円の追加支出が必要、2)観光や地域振興の効果が不明確―などを理由に中止を決断しました。
また、鳥取県では片山知事が、情報公開により無駄が明らかになった240億円のダムを廃止しました。
安藤知事は、もともと、自然や文化に造詣が深く、政治判断を期待するものです。
ご承知のとおり、先般の世界自然遺産候補地検討会で「綾・照葉樹林帯」は、1万7千ヶ所の中から19地域に残り、最終候補地としては見送られたものの、「照葉樹林は我々の文化の源。日本として推薦するのが好ましい」(岩槻座長)、「日本代表として世界に出したい」(大澤委員)などと高い評価を得ました。
ユネスコ国内委員会のMAB(人間と生物圏)計画委員会は、「生物圏保存地域の候補地として選び、調査に着手しています。
せめて、県の生態系調査やMABの調査の結果が出る来年3月までの工事中断の申し入れを期待します |
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